著者
長谷 博子 野浪 亨 中村 利治
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.118, 2012 (Released:2013-09-18)

<目的> 花粉症の原因である花粉を除去するために,アパタイトと二酸化チタンの粉末を用いてマツ花粉の吸着・分解能の評価を行った. <方法> マツ花粉0.1gとアパタイト粉末0.1g,マツ花粉0.1gと二酸化チタン粉末0.1gをそれぞれ乳鉢で混合した後,走査型電子顕微鏡で観察した.さらに,マツ花粉と二酸化チタン粉末を混合した試料には,ブラックライトを照射した後にも顕微鏡観察を行った. 応用例の実験として,アパタイト被覆二酸化チタンを塗布した網目約1mmのポリエステル製ネットと不織布についても評価を行った.試験片1×1cmとマツ花粉0.1gをバイアルに入れて振とうした後に試験片を取り出し,未処理の試験片と比較して観察した. <結果および考察> マツ花粉の大きさは,球形で直径が30~50μmであり,スギ花粉と同程度の大きさであることが分かった.アパタイト粉末と二酸化チタン粉末は,いずれもマツ花粉の表面に吸着している様子が観察できたが,アパタイト粉末の方が明らかに多く吸着していた.アパタイト被覆二酸化チタンを塗布したポリエステル製のネットは,未処理のネットと比べて明らかに多くのマツ花粉を吸着していた.このことから,ポリエステル製のネットにアパタイト被覆二酸化チタンを塗布することでマツ花粉の侵入を低減できる可能性があることが分かった.なお,ポリエステルネットは蚊帳用として,不織布はマスク用として利用されているものである.