著者
長谷 博子 光田 恵
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.35-43, 2012 (Released:2018-03-22)
参考文献数
23

本研究では,室内の温湿度がにおいに対する嗅覚閾値,臭気強度と快・不快度に及ぼす影響を官能評価により検討することを目的とした.パネルは,若年者の男性7名を対象とした.におい物質は,スカトール,イソ吉草酸,β-フェニルエチルアルコールを用いた.測定項目は,嗅覚閾値,臭気強度と快・不快度とした.嗅覚閾値は,におい物質間や温湿度条件間において,有意な差は認められなかった.スカトールは,嗅覚閾値の平均が最も低く,標準偏差も小さかった.臭気強度と快・不快度は同様の頃向を示し,快適条件(25℃, 50%)が他の3条件に比べて,におい物質ごとに感じ方が異なることが明らかとなった.冬季条件(22℃,20%)は,におい物質が異なっても感じ方への影響が少ないことが示された.イソ吉草酸は他の2物質よりも温湿度条件の影響を受けることが示された.β-フェニルエチルアルコールとスカトールは温湿度条件の影響を受けにくいことが明らかとなった.
著者
長谷 博子 光田 恵
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 = Journal of human and living environment (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.35-43, 2012-05-01

本研究では,室内の温湿度がにおいに対する嗅覚閾値,臭気強度と快・不快度に及ぼす影響を官能評価により検討することを目的とした.パネルは,若年者の男性7名を対象とした.におい物質は,スカトール,イソ吉草酸,β-フェニルエチルアルコールを用いた.測定項目は,嗅覚閾値,臭気強度と快・不快度とした.嗅覚閾値は,におい物質間や温湿度条件間において,有意な差は認められなかった.スカトールは,嗅覚閾値の平均が最も低く,標準偏差も小さかった.臭気強度と快・不快度は同様の頃向を示し,快適条件(25℃, 50%)が他の3条件に比べて,におい物質ごとに感じ方が異なることが明らかとなった.冬季条件(22℃,20%)は,におい物質が異なっても感じ方への影響が少ないことが示された.イソ吉草酸は他の2物質よりも温湿度条件の影響を受けることが示された.β-フェニルエチルアルコールとスカトールは温湿度条件の影響を受けにくいことが明らかとなった.
著者
長谷 博子 林 恵里奈 平尾 竜馬 野浪 亨
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.99, 2010 (Released:2010-10-15)

<目的>公共施設などでは禁煙化が進んでいるが,飲食店などで喫煙者が近くに居ると,衣服などにたばこ臭が付着することがあり,不快に感じることがある.そこで本研究は,たばこ臭の生地への吸着および放散量を明らかにすることを目的とする. <実験方法>たばこに火を点けて1Lのフラスコ内に吊るし,アルミホイルで密封し3分後にシリンジで10ml採取した.無臭空気を満たした3Lのにおい袋に注入し,これを原臭とした.生地試料は,100%の綿,ポリエステル,ウールの平織りを使用した. たばこ臭の吸着は,5×5cmの試験片1枚とたばこの原臭を30倍希釈してにおい袋に入れ,1時間室温で静置した.たばこ臭の放散は,におい袋に24時間たばこ臭を吸着させた試験片と無臭空気を入れて室温で静置した後,においを評価した.たばこ臭の評価は,におい識別装置(島津製作所製)を使用した. <結果および考察>においの強さは,におい識別装置によって算出される臭気指数相当値によって評価した.たばこ臭の希釈倍数と臭気指数相当値との相関係数は,0.942と強い相関が見られたため,たばこ臭の測定が可能であると判断した.30倍希釈のたばこ臭は12であった.生地自体のにおいは,1時間後には,綿:14,ポリエステル:16,ウール:11であった.生地とたばこ臭を入れたにおい袋内の値は,綿:21,ポリエステル:20,ウール:22であった.たばこ臭の放散は,綿:19,ポリエステル:13,ウール:17であった.よって,におい識別装置で評価した結果,たばこ臭はポリエステルに最も吸着し,生地からはウールが最も放散することが分かった.
著者
長谷 博子 亀井 大造 矢野 大樹 野浪 亨
出版者
人間-生活環境系会議
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.197-198, 2015

におい刺激に対する快・不快度は,DVA動体視力にどのような影響を与えるのか検討した.若年者30名(男性15名,女性15名)を被験者とし,15種類のにおい(植物精油:10種類,悪臭物質:5種類)を用いて,DVA動体視力の評価を行った.被験者らは,においを6段階臭気強度尺度と9段階快・不快尺度を用いて評価した.DVA動体視力の評価には,ポータブルゲーム機(DS眼力トレーニング)を使用した.においに対する快・不快度とDVA動体視力の間には,負の相関が認められた.さらに,においに対して不快と申告したにおい物質とDVA動体視力の間には,強い負の相関が認められた.においがより不快な方がDVA動体視力の得点が高くなった.
著者
長谷 博子 丸山 眞澄 佐橋 那央子 平林 由果
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

目的 生活の中の香りについて,香り付き商品の使用状況と香りに対する意識を探るため、アンケート調査を実施した. &nbsp; <br>方法 調査は,10歳代以上の男女を対象とし,2015年9月~10月に実施した.学生は集合調査法,その他は留置調査法により調査した.居住空間,衣服,身体に分け,香り付き商品の使用状況,香りに対する意識や嗜好を尋ねた.自意識尺度や生活習慣についても尋ね,それらとの関連を分析した.&nbsp; <br>&nbsp;結果 有効回答数は996部で,男性27.2%、女性72.8%であった.学生が77.7%を占めており,回答者の79.6%が10~20歳代で,30~40歳代,50~60歳代以上は,それぞれ1割程度であった.居住空間は,「何もしない」が居間・寝室・玄関では40~60%と最も多いが,香り付けには,ルームフレグランススプレー型と置き型が多く使用されていた.衣服から香りがする方が好きと回答したのは,約8割であった.香りを好む程度が高いほど、香り付けを行うという関係が認められた.衣類への香り付けには,柔軟剤や衣類用スプレー・ミストが主に使用されていた.ファッションに気を遣っている人ほど,また流行を意識している人ほど,衣類への香り付けをしていた.自意識尺度の高い人ほど衣類や身体からの香りを好み,自分や他人,居住空間のにおいを気にする傾向が確認された.このことから,香りへの意識の高さは、自意識尺度の高さと関係していることが考えられる.
著者
長谷 博子 野浪 亨 中村 利治
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.118, 2012 (Released:2013-09-18)

<目的> 花粉症の原因である花粉を除去するために,アパタイトと二酸化チタンの粉末を用いてマツ花粉の吸着・分解能の評価を行った. <方法> マツ花粉0.1gとアパタイト粉末0.1g,マツ花粉0.1gと二酸化チタン粉末0.1gをそれぞれ乳鉢で混合した後,走査型電子顕微鏡で観察した.さらに,マツ花粉と二酸化チタン粉末を混合した試料には,ブラックライトを照射した後にも顕微鏡観察を行った. 応用例の実験として,アパタイト被覆二酸化チタンを塗布した網目約1mmのポリエステル製ネットと不織布についても評価を行った.試験片1×1cmとマツ花粉0.1gをバイアルに入れて振とうした後に試験片を取り出し,未処理の試験片と比較して観察した. <結果および考察> マツ花粉の大きさは,球形で直径が30~50μmであり,スギ花粉と同程度の大きさであることが分かった.アパタイト粉末と二酸化チタン粉末は,いずれもマツ花粉の表面に吸着している様子が観察できたが,アパタイト粉末の方が明らかに多く吸着していた.アパタイト被覆二酸化チタンを塗布したポリエステル製のネットは,未処理のネットと比べて明らかに多くのマツ花粉を吸着していた.このことから,ポリエステル製のネットにアパタイト被覆二酸化チタンを塗布することでマツ花粉の侵入を低減できる可能性があることが分かった.なお,ポリエステルネットは蚊帳用として,不織布はマスク用として利用されているものである.
著者
長谷 博子 松下 調子 明田 喜仁 大八木 薫博 熊谷 崇行 野浪 亨
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.16-20, 2004-01-25
被引用文献数
11

二酸化チタン光触媒を利用して,義歯に付着した歯石やヤニの除去が可能であるかメチレンブルー,ヘマトポルフィリンおよびたばこのヤニを染色モデルとして検討した.二酸化チタンと微量の酸で二酸化チタン洗浄剤を調製した(以下二酸化チタン洗浄剤という.).この二酸化チタン洗浄剤により,lOppmのメチレンブルーを2分間で5ppm以下に脱色することができた.また二酸化チタン洗浄剤によりヘマトポルフィリンで染色した試験紙をL^*値は60程度から90近くに増加させた.a^*値は20近くから0以下に減少させ,ヘマトポルフィリンの赤褐色を完全に脱色することができた.更に,たばこのヤニは二酸化ヂタン洗浄剤による洗浄後のΔL^*値は14.43と高い値を示し,Δa^*,Δb^*値も-8.35と-8.15とそれぞれ脱色することができた.よって本研究により,安全かつ簡単に義歯を痛めることなく洗浄できることが期待できる.