著者
一瀬 豊日 中村 早人 戸倉 新樹
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.73-81, 2010-03-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
3 2

専属産業医を選任する必要のある事業所は, 労働安全衛生規則に定められているが, 専属産業医を必要とする事業所の数は公開されている厚生労働省の統計数値上には未掲載である. しかし本邦では経済基本構造を把握するために, 総務省統計局経済基本構造統計課により, 事業所における従事者数および業種の全数調査が行われている. 本報告では総務省統計局経済基本構造統計課の事業所・企業統計調査を基に法的に必要とされている最低限度の専属産業医数を推計した. 1,000名以上従業員がいる事業所の数は1,228ヶ所(確定数)あり, 特定有害業務を有する業務に常時500名以上の労働者を使用する事業所数と事業所兼任などを考慮すると, 2,000名から2,500名の専属産業医の需要が最低限あると考えられる.
著者
一瀬 豊日 中村 早人 蜂須賀 研二
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.47-52, 2013-10-01
被引用文献数
1

平成25(2013)年6月1日現在で産業医科大学医学部は2,875名の卒業生を輩出している.うち産業医として就業している人が526名,修学資金返還免除対象職務となる本学教員252名,労災病院219名,健診中心の労働衛生機関84名となっている.義務年限中の職種として多い臨床研修医を含めた卒後の修練医等は473名である.卒業生産業医は全国に分布している.その多くは日本の大規模事業所の分布にほぼ一致する太平洋ベルト地帯を中心とした都市圏である.この10年程度の卒業生産業医数の増加は義務年限を修了しても産業医を継続する者が多くなった結果,従事者数が増加したことが大きく影響しており,要因として卒後修練課程の充実や修学資金が考えられるが,多くの要因が含まれているので単純単一の要因として導くことは難しい.企業の産業医を経験した教員,労災病院医師や開業医等による産業医育成能力向上や産業保健体制充実の影響もあると考えられ,今後これらの分析も進める必要がある.