- 著者
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森井 和彦
福永 智栄
多田 俊史
中村 進一郎
- 出版者
- 一般社団法人 日本病院総合診療医学会
- 雑誌
- 日本病院総合診療医学会雑誌 (ISSN:21858136)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.3, pp.214-222, 2023-05-31 (Released:2023-10-19)
がんの治療方針は staging や performance status に基づいて決定されることが多いが,高齢者の場合は平均余命が短く,複数の併存疾患や加齢による脆弱性を認めることがあるため, 高齢者総合機能評価(comprehensive geriatric assessment;CGA)を行わないで治療を始めるのは危険である。高齢者の脆弱性は日常的診療では拾い上げが不完全であり,CGAでの評価が望ましい。多忙な日常診療ではまず G8 Screening tool で脆弱性の疑われる高齢者をスクリーニングして,該当者に CGA を行うのが効率的である。CGAでは検証されたツールを用いて,instrumental activities of daily living(IADL),併存疾患,転倒,栄養状態,化学療法の毒性の予測,がん以外の要因による平均余命, 薬剤関連の問題,認知障害,うつ病,社会的支援システムの不足などを評価する。近年使用頻度が増えている免疫チェックポイント阻害剤の 有益性・有害性の予測にもCGAが有効かどうかは,今後の課題である。