著者
中森 茂 高木 博史 高橋 正和 辻本 和久
出版者
福井県立大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

絹タンパク質、セリシンにはSer、Thrなどの親水性アミノ酸残基に富む38残基の特徴的なアミノ酸配列が含まれている。本研究ではこれまでにセリシンの加水分解物や、上記38残基が2回連続したペプチドが昆虫細胞Sf9の血清中での細胞死に対して抑制活性があることを示してきたが、本年度の研究で以下のような新しい発見があった。1)38残基ペプチドの細胞死抑制効果の活性中心が10残基のペプチドSP3にあることを示した。この配列はSGGSSTYGYSである。2)SP3のC末端-YGYSをWGWSに変えても活性に差はないが、-AGASに変えると活性がなくなった。この事実からTyr, Trpなどの芳香族アミノ酸が活性に重要な役割を果たしていることが示された。3)NおよびC末端のSを削除したペプチドでは活性が大幅に低下した。このことからSerも重要な役割を持つことが示された。4)昆虫細胞Sf9の16時間培養後のDNAの電気泳動の解析によって明瞭なヌクレオソーム単位毎の特異的な切断が観察され、この細胞の死がアポトーシスによること、セリシンの加水分解物の添加がアポトーシスを抑制することが示された。