著者
村田 真弓 工藤 歩 高木 博史
出版者
沖縄大学地域研究所
雑誌
地域研究 (ISSN:18812082)
巻号頁・発行日
no.7, pp.115-131, 2010-03

2007年末の「社会福祉士及び介護福祉士法」の制定以来初めての改正にともない大幅なカリキュラムの改正が行われた。特に社会福祉士国家試験受験資格を取得するための前提となる相談援助実習においては、実習指導を担当する「相談援助実習指導者」及び養成校の教員に対して要件が課されることとなった。とくに、現場の相談援助実習指導者については社会福祉士の取得資格、相談援助の実務経験3年以上、さらに相談援助実習指導者講習会の受講が義務付けられるなど厳しい要件が課せられることとなった。本調査研究は、こうした社会福祉士養成に関わる現場が2012年度の完全施行を前に現状と今後の把握を行うために沖縄大学の2007年度以降の実習先にアンケートを行った。その結果、8割を超える回収率を得ることができ、現場のこの問題に対する関心の高さと人材確保に対する不安、さらには社会福祉士養成校と現場の連携の在り方を検討する上で重要な示唆を得ることができた。
著者
高木 博史
出版者
沖縄大学
雑誌
沖縄大学マルチメディア教育研究センター紀要 (ISSN:13464264)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.17-25, 2009-03-31

2008年、沖縄大学において教育研究上の効果をより促進するために学内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス、以下SNSと略)の運用が試験的に開始された。一方で、沖縄大学人文学部福祉文化学科では、社会福祉士国家資格の合格を目指す学生たち同士が、あるいは、卒業生と在学生などの積極的な交流により国家試験対策等に有益な情報を得る場が求められてきている。そうした意味では、社会福祉士国家試験対策においてこの学内SNSの活用がなされることは、情報交換をする上で有効な一つのツールとしてとらえられるが、学生たちの参加者数の問題など様々な諸課題を抱えている。本稿は、社会福祉士国家試験におけるSNSの活用の可能性と課題を明らかにし、さらなる学内SNSの発展が、社会福祉士国家試験合格のための情報交換、仲間づくりの場として機能していくことに寄与することを目的としている。
著者
高木 博史
出版者
沖縄大学
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.61-70, 2010-03-31

2007年末に、「社会福祉士及び介護福祉士法」が制定されて以来、初めての改正が行われた。特に介護福祉士に関する改正で、「准介護福祉士」の規定が盛り込まれたことは、日本の介護労働事情に大きな影響を及ぼすことになる。 なぜならば、「准介護福祉士」資格は「介護福祉士」との関係において「下位資格」に当たるものであり、一般的にも低待遇が課題となっている介護現場において、さらに「低賃金・低待遇」の条件下での労働を強いられることになるのではないかという懸念が生じるからである。そこで、「介謹福祉士」と「准介護福祉士」 と同様の関係性を持っと考えられる「看護師」と「准看護師」 の関係を比較材料とし、その実態を明らかにすることで「准介護福祉士」の再考を促す問題提起としたい。
著者
中森 茂 高木 博史 高橋 正和 辻本 和久
出版者
福井県立大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

絹タンパク質、セリシンにはSer、Thrなどの親水性アミノ酸残基に富む38残基の特徴的なアミノ酸配列が含まれている。本研究ではこれまでにセリシンの加水分解物や、上記38残基が2回連続したペプチドが昆虫細胞Sf9の血清中での細胞死に対して抑制活性があることを示してきたが、本年度の研究で以下のような新しい発見があった。1)38残基ペプチドの細胞死抑制効果の活性中心が10残基のペプチドSP3にあることを示した。この配列はSGGSSTYGYSである。2)SP3のC末端-YGYSをWGWSに変えても活性に差はないが、-AGASに変えると活性がなくなった。この事実からTyr, Trpなどの芳香族アミノ酸が活性に重要な役割を果たしていることが示された。3)NおよびC末端のSを削除したペプチドでは活性が大幅に低下した。このことからSerも重要な役割を持つことが示された。4)昆虫細胞Sf9の16時間培養後のDNAの電気泳動の解析によって明瞭なヌクレオソーム単位毎の特異的な切断が観察され、この細胞の死がアポトーシスによること、セリシンの加水分解物の添加がアポトーシスを抑制することが示された。
著者
高木 博史 大津 厳生
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

大腸菌にはシステイン(Cys)をO-acetylserine sulfhydrylase A(OASS-A)によりO-acetylserine(OAS)とSO_4^<2->から合成する経路1と、OASS-BによりOASとS_2O_3^<2->から生成するsulfocysteineを介して合成する経路2が存在する。これまでに経路1の制御機構の解除を中心としたCys生産菌の育種が続けられてきたが、経路1だけでは合成系の強化にも限界がある。一方、経路2はsulfocysteineからCysへの還元に関わる酵素やその制御機構が未解明であるが、経路1と比べ硫黄同化経路でのエネルギー消費が少ないため、その知見を発酵生産へ応用することで、Cys生産性の向上が期待できる。まず、経路1のOASS-A遺伝子(cysK)と経路2のOASS-B遺伝子(cysM)を破壊した二重欠損株を作製したところ、予想通りCys要求性を示したことから、大腸菌のCys生合成経路には1と2しか存在せず、二重欠損株ライブラリーを用いた解析が可能であることが判明した。現在、Keio collectionとcysK破壊株を接合させた二重欠損株ライブラリーを用いて、Cys要求を示す菌株を単離し、新規経路に関与する遺伝子の探索を行なっている。また、すでに高等動物において、glutaredoxin(Grx)がsulfocysteineをCysに還元する反応を触媒することが報告されている。そこで、大腸菌に存在する酸化還元酵素がsulfocysteineからCysへの還元活性を示すかどうかについて評価した。9種類の酸化還元酵素にHisタグを融合した組換え酵素を精製し、酵素活性を測定した。その結果、Grx1,2,3はsulfbcysteineのCysへの還元を触媒することが明らかになった。さらに、in vivoでの効果を確認するために、これら酸化還元酵素をそれぞれ過剰発現させたCys生産菌を構築し、S_2O_3^<2->を硫黄源としたCys生産実験を行った。その結果、Grx1及びGrxと相同性の高い還元酵素NrdHの過剰発現株では、Cys生産量が有意に増加(20-40%)しており、これらの還元酵素の過剰発現がCys発酵生産に有効であることが示された。