著者
中河 隆仁 森 友則 朝香 卓也 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.457, pp.411-416, 2009-02-24
被引用文献数
3

Unstructured型P2Pネットワークにおいて,コンテンツごとに人気度が異なり,コンテンツのリクエスト数分布やコンテンツのネットワーク上の存在数分布がべき乗側に近い性質を持っていることが報告されている.これにより,フラッディングを用いてコンテンツの検索を行うと,人気度の高いコンテンツは発見しやすいが,人気度の低いコンテンツは発見しにくいという問題がある.さらに,人気度の高いコンテンツを検索する際に無駄なメッセージが多く発生するという問題が生じる.そこで,本稿では,コンテンツの人気度に応じて検索時のTTL(Time To Live)を制御する方式を提案する.本方式では,コンテンツの人気度を過去にそのコンテンツを検索したメッセージが通過した回数で計算し,人気度の高いコンテンツを検索する際には,TTLを小さく設定し,人気度の低いコンテンツを検索する際には,TTLを大きく設定する.これにより,人気度の高いコンテンツを検索する際に,高いヒット率を維持しながら無駄なメッセージが減少し,かつ人気度の低いコンテンツのヒット率が向上する.結果として,P2Pネットワーク全体で高いヒット率を維持させながら,メッセージ数を減少させる効果が期待できる.また,本稿では,シミュレーションによる評価を行い,提案方式の有効性を示す.
著者
中河 隆仁 森 友則 朝香 卓也 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.230-241, 2010-02-01

Unstructured型P2Pネットワークにおいて,ユーザの嗜好性を考慮し,嗜好の近いピアをオーバレイネットワーク上で近くに配置するセマンティックP2Pネットワークの研究が盛んに行われている.しかし,従来のセマンティックP2Pネットワークでは,同じ内容のクエリを何度も同じピアに転送するクリッピング現象が生じるため,ヒット率の点において課題が残されている.そこで,本論文では,クリッピングの影響を抑える新たなセマンティックP2Pネットワークの構築法を提案する.本方式では,各ピアが保持しているコンテンツのジャンルの比率とピアが保持しているコンテンツ数を用いて,他ピアとの嗜好の近さを計算し,検索の際に嗜好の近いピアだけでなく嗜好の異なるピアにもクエリを転送することにより,クリッピングの影響を抑える.これにより,検索範囲を広くできヒット率を高めることができる.また,本論文では,シミュレーションによる評価を行い,提案方式の有効性を示す.更に,より実際のネットワークに近い条件下での評価を行うためにmixiの解析を行い,これにより得られたデータをシミュレーションモデルに組み込んで提案方式の評価を行う.