著者
中瀬 仁 嶋田 昌義 弘重 智彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.801-804, 2001 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

液状化地盤における地中埋設構造物について, 従来の液状化判定に基づく検討を適用した場合, 十分締め固められた良質な埋め立て地盤や, 浮き上がりが生じにくいと考えられる細粒分を含む埋め立て地盤においても浮き上がると判定され, 膨大な対策費が必要となる場合が想定される. 著者のグループでは, 浮き上がりを許容する性能設計を視野においた検討を進めており, 本稿では過去に報告された実験結果を対象に, DEM (個別要素法) を用いた浮上量予測に対するシミュレーション研究を実施した内容について報告する. シミュレーションでは, 地盤を締め固める対策を施したケースに比べて無対策の構造物の浮上量が大きくなり, 定性的な浮上の傾向が実験と一致した. また, 液状化地盤が構造物下部に回り込むメカニズムも再現できた.
著者
津田 悠人 吉田 郁政 中瀬 仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.22-00159, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
18

被害想定には大きな不確定性があり確定的に評価することは困難であるため,確率論的リスク評価が有効である.本研究では,落石対策のリスク評価に基づいた防護工の最適配置の意思決定のための支援手法の提案及びモデル地点の費用便益分析の例を示した.リスクは限界状態超過確率と影響度の積で定義した.実規模斜面落石実験より得られた到達位匿を対象に質点系解析による落石挙動の再現解析を実施し入力パラメタを決定し,落石の道路到達時のエネルギーに基づいた確率論的危険度評価を行った.防護工の初期建設費の総和に対する予算制約を設け,トータルコスト最小化に基づいた最適配置を示した.最後に,費用便益分析を行い,トータルコストが最小となる防護工の最適配置を示すだけではなく,予算制約内でリスク削減量を最大にする対策案を提示した.