著者
中田 栄 塩見 邦雄
出版者
JAPAN SOCIETY FOR RESEARCH ON EMOTIONS
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.83-93, 1999-03-31 (Released:2009-04-07)
参考文献数
18
被引用文献数
3 2

The purpose of this study was to identify the factors of self-regulation and self-efficacy through factor analyses conducted on elementary school children The relationships among these factors were also investigated via multiple regression. The subjects were 1312 (678 boys and 634 girls) Japanese children from the 3rd to 6th grade of elementary school. Factor analysis yielded four factors of self-regulation, labeled Permissiveness, Self-disclosure, Decision-making, and Uniqueness. In addition two factors of self-efficacy were found, labeled as Perceived Self-Efficacy and Judgement of Ability based on prior achievement. Analysis of variance was used to test for differences on each of the six factor scores as a function of Sex, Grade and their Interaction. In addition, Multiple Regression was used to predict each of the four Self-Regulation scores from Sex, Grade, and the two Self-Efficacy Scores. ANOVA results show effects for Grade but not Sex. Multiple Regression showed that the first three Self-Regulation scores were predicted by each of the Self-Efficacy factors. However, the fourth Self Regulation score was only predicted by the Judgment of Ability factor. Finally, the interactions among factors based on multiple regression were discussed.
著者
中田 栄
出版者
愛知学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、社会性の指標としての自己統制をとりあげ、これまでの西洋的な観点に偏った自己統制の理論を改善・発展させていくため、米国の研究者と連携し、日米の自己統制の規定要因を縦断的に検討してきた。まず、国際的な視点から自己統制の理論化を進め、人間関係の支援に貢献するため、(1)社会性の指標としての自己統制にかかわる要因を状況別に明らかにすること、(2)日米の文化的背景をふまえた.自己統制の理論化、(3)子どもにとって新奇な2種類以上の情報が同時に提示された場合に、一方の情報を探索した後、もう一方の情報を探索し、先に見た情報を修正し、新たな情報を付け加えながら複数の情報を統合していく過程における衝動性および他者の表情変化の予測を縦断的に検討することを目的とする。このために遂行した今年度の研究内容は次の通りである。1.米国における児童の自己統制の理論化にあたって、デラウェア大学のGeorge Bear教授と協力・連携して規律性との関係から自己統制の理論化を進めてきた。2.米国研究チームの協力を得て日米の対象が同数になるように配慮し、他者の表情変化の予測と観察場面における行動を検討した。(1)対象:米国デラウェア州ニューアークおよびニュージャージの9歳から12歳までの児童48名(男子24名、女子24名)。(2)期間:2005年10月から2006年9月までのうち、冬休み期間(12月〜2月)を除き、一ヶ月あたり12回の観察記録を行った。(3)手続き:VTR撮影は児童一人あたり64分とし、米国の児童48名の合計3072分のVTR記録の中から自己統制を中心に取り上げた。3.平成18年度は、児童の自己統制について日米との共通点を取り上げ、以下の点から理論化を試みた。(1)他者の情動の予測力の正確さは、他者に対する怒りの情動を自ら調整していく力とかかわることが示唆された。(2)複数の情報の統合過程において衝動的な行動傾向を示した子どもは、攻撃行動の調整が困難な傾向が示唆された。(3)日米の児童の自己統制の共通点として、参与観察からは、(1)攻撃に対する怒りの反応は、さらなる攻撃の反応となり、悪循環となること、(2)他者からの攻撃行動に対して、衝動的に怒りの情動と攻撃行動を返したとき、周囲の第三者から助けられにくいこと、(2)他者が一方的に攻撃される状況では、周囲の第三者が、攻撃を受けている他者のために助ける行動を起こすことが示唆された。4.上記の結果に基づき、以下のような支援を提案するに至った。(1)衝動的な行動傾向を示した子どもは、攻撃反応を示しやすい傾向がみられたため、攻撃に代わる自己表現として要求の伝え方を理解させ、社会的に望ましい自己表現につなぐ必要性が示唆された。(2)視線の向け方が、他者に誤解をもたらすメッセージを与えてしまうことへの気づきを促す必要性が示唆された。(3)社会性の指標としての自己統制の役割を質的に検討することによって、対人関係の効果的な支援に貢献できることが示唆された。(4)攻撃に対する怒りの反応は、さらなる攻撃の反応を生じさせ、悪循環となるため、自己統制トレーニングにおいて、他者の立場に配慮した自己表出への理解を促す意義を提案するに至った。なお、本研究は、米国デラウェア大学およびハーバード大学との専門性を生かした協力体制のもとで実施された。