- 著者
-
中西 信吾
- 出版者
- Japanese Society of Equine Science
- 雑誌
- Japanese Journal of Equine Science (ISSN:09171967)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, pp.13-15, 1991-03-31 (Released:2010-06-28)
馬の受胎率が牛に比べ低いことは,これまでの報告から明らかであるが,その理由は,主として馬の繁殖生理上の特異性にあるものと考えられる。 我国における近年の軽種馬の繁殖に関するデータは,毎年,日本軽種馬協会から刊行される軽種馬生産統計に1年間の交配牝馬頭数と子馬生産頭数が掲載されるに過ぎず,そのほかの詳細なデータは公表されていない。馬の生産率の向上が可能か否かを検討するためには,馬の繁殖の現状を把握することが不可欠である。 今回,軽種馬の近年の繁殖状況を明らかにするために,日本軽種馬協会の内部資料と同協会軽種馬改良情報システムのデータを基に,1984~1988年の軽種馬繁殖成績の分析を試みた。なお,繁殖牝馬の産歴に関しては,日本軽種馬登録協会の血統書を用いて検索した。 調査対象は,日本軽種馬協会所属の種牡馬延べ151頭で交配した延べ4,009頭の繁殖牝馬であった。その内訳は,サラブレッド延べ3,741頭,アングロアラブ延べ246頭,アラブ延べ20頭およびサラブレッド系延べ29頭であった。各牝馬の繁殖成績から,受胎率,生産率,および生産に関する損耗率を算出した。なお,本調査では,分娩後3カ月以上生存した子馬を正常産駒として取り扱った。したがって,正常産駒を分娩した場合を生産とし,妊娠と診断されたが生産しなかった場合(胎子死滅,流産,死産,産後直死など)を損耗とした。 得られた結果の大要は,以下に示すとおりである。