著者
山本 真也 魚里 博 川守田 拓志 中山 奈々美 中谷 勝己 恩田 健
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.134-139, 2010 (Released:2019-11-08)
参考文献数
16

目的:乱視眼において瞳孔径は最小錯乱円サイズ(直径)を変化させるため,同じ乱視度数でも瞳孔径により網膜像への寄与が異なることが考えられる。そこで,乱視と瞳孔,視機能との関係を調査したので報告する。方法:対象は11名11眼(平均年齢21.9±1.4歳)である。測定にはコントラスト視力装置に電子瞳孔計を内蔵した改良型CAT-2000(Menicon社)を用いた。また,実瞳孔径のコントロールができないため,本実験は人工瞳孔を使用した。視力測定はシクロペントラート塩酸塩(サイプレジン®)点眼後,人工瞳孔2.0~5.0 mm(0.5mm単位)と乱視0~3.0 D(0.5 D単位)を組み合わせ,昼間視コントラスト100%にて行った。結果:乱視が1.0 D以上では,瞳孔径が大きくなると視力は有意に低下した。乱視が強くなるほど瞳孔径拡大に伴い視力がより低下する傾向が認められた。結論:乱視眼では,瞳孔径が大きいと最小錯乱円サイズ拡大による網膜像の質の劣化を導き,その結果,視機能に影響を与えている可能性が示唆された。