著者
井川 美智子 中山 奈々美 前田 史篤 田淵 昭雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1251-1255, 2006-07-15

要約 目的:縦書きと横書きの文章を読むときの眼球運動の比較。対象と方法:19~23歳の健康人19名を対象とした。読書時の眼球運動は赤外線眼鏡型眼球運動記録装置で記録し,自覚的な読みやすさを聴取した。読書材料として,1辺が3.5mmの明朝体の文字を,A4用紙に1行45文字,15行で縦または横に印刷したものを使った。結果:眼球運動波形は,縦書きと横書きともに視線移動(saccade)と固視からなる階段状波形を示した。視線移動の速度は横書きのほうが速く,固視回数は縦書きのほうが有意に多かった。自覚的には横書きのほうが読みやすいという回答が多かった。結論:縦読みでは固視回数が多くなり,視線移動速度が遅くなることが読みやすさに影響していると解釈される。
著者
山本 真也 魚里 博 川守田 拓志 中山 奈々美 中谷 勝己 恩田 健
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.134-139, 2010 (Released:2019-11-08)
参考文献数
16

目的:乱視眼において瞳孔径は最小錯乱円サイズ(直径)を変化させるため,同じ乱視度数でも瞳孔径により網膜像への寄与が異なることが考えられる。そこで,乱視と瞳孔,視機能との関係を調査したので報告する。方法:対象は11名11眼(平均年齢21.9±1.4歳)である。測定にはコントラスト視力装置に電子瞳孔計を内蔵した改良型CAT-2000(Menicon社)を用いた。また,実瞳孔径のコントロールができないため,本実験は人工瞳孔を使用した。視力測定はシクロペントラート塩酸塩(サイプレジン®)点眼後,人工瞳孔2.0~5.0 mm(0.5mm単位)と乱視0~3.0 D(0.5 D単位)を組み合わせ,昼間視コントラスト100%にて行った。結果:乱視が1.0 D以上では,瞳孔径が大きくなると視力は有意に低下した。乱視が強くなるほど瞳孔径拡大に伴い視力がより低下する傾向が認められた。結論:乱視眼では,瞳孔径が大きいと最小錯乱円サイズ拡大による網膜像の質の劣化を導き,その結果,視機能に影響を与えている可能性が示唆された。