著者
関澤 直子 中野 妙 泉山 肇 土井 賢 平田 結喜緒
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.523-529, 2008 (Released:2009-05-20)
参考文献数
27

前立腺癌に対するアンドロゲン抑制療法(androgen-deprivation therapy: ADT)治療中に血糖の増悪を来した3症例を経験した.3症例はいずれも,2型糖尿病を基礎疾患にもつ男性で,前立腺癌に対して2剤以上のADTを行った数カ月後に著明な高血糖を生じた.3例中2例は,高血糖に対してインスリン療法を行った.3症例ともホルモン製剤を中止後,糖尿病の改善を認めた.したがって,糖尿病患者において前立腺癌に対するADTを行う際には,糖尿病の増悪に十分な注意を払うことが必要と考えられる.ADTによる高血糖誘発のメカニズムを考察する.