著者
五十川 修司 鳥谷 龍三 田中 文顕 鳥谷 尚史 大礒 正剛 本田 達也 犬童 直哉 中野 幸治 神埼 祐一 江浦 正郎
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.285-291, 2012 (Released:2013-11-01)
参考文献数
15

熊本県の最近 10 年間における平均スギ花粉飛散数は約 2,000 個/cm2であるが、われわれは既に、大量飛散した 2009 年 (4,289 個/cm2) におけるロイコトリエン受容体拮抗薬 (LTRA) モンテルカストのスギ花粉症に対する初期療法の有用性について報告している。今回、例年よりスギ花粉飛散が結果的に少なかった 2010 年 (815 個/cm2) においても同じ初期療法を施行し、スギ花粉飛散量の多寡によってモンテルカストの初期療法の有効性に違いが生じるかどうかを検討した。対象は 2010 年 1 月から 3 月までに熊本県内 10 施設を受診したスギ花粉症患者 82 名であった。モンテルカスト単剤で治療開始から飛散終了までの鼻症状をコントロールできた症例は 54 例 (65.9%) で、2009 年の 40.7%と比較して高く、飛散数の少ない年ではモンテルカスト単剤でコントロールできる割合が多いことが分かった。さらに、2009 年、2010 年に 2 年連続してモンテルカストによる初期療法を受けた患者 8 名の解析では、初年に有効であった 4 例は翌年も全例有効であったのに対し、無効であった 4 例のうち 3 例は飛散の少なかった翌年も効果はみられなかった。すなわちこれらの無効症例は花粉飛散の多寡に関係なく LTRA の効果が期待できないいわゆる「LTRAに対する non-responder」と考えられた。
著者
佐藤 俊秀 岡元 和文 久木田 一朗 菊田 浩一 濱口 正道 生田 義浩 中野 幸治
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.8, pp.347-350, 1997-08-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
5

We present a case of pharyngeal foreign body in an infant. A 6-month-old girl whose oropharyngeal space was occupied by a cuttlefish hook, was sent to our intensive care unit. The double-banked, radial needles were stuck in the base of the tongue as well as the middle pharynx and were seen on a roentgenogram. Neither a laryngoscope nor even a small bronchofiberscope could be inserted into the oral space occupied by the foreign body. Prior to transoral removal of the foreign body, tracheostomy was performed. Intravenous anesthesia using ketamine and diazepam combined with the local anesthesia was chosen for the tracheostomy. A small dose of atropine was effective in reducing secretions and maintaining the patency of the upper airway. Induction of anesthesia was followed by isoflurane, nitrous oxide, and oxygen after tracheostomy, then surgery was performed successfully within 90 minutes. Tracheostomy is indicated for a patient in whom endotracheal intubation is difficult to perform. Upper airway management during tracheostomy is the main issue in such a case, especially in an infant with a large pharyngeal foreign body.
著者
五十川 修司 鳥谷 龍三 犬童 直哉 大礒 正剛 田中 文顕 鳥谷 尚史 中野 幸治 江浦 正郎
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.27-33, 2007-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10

湿疹におけるかゆみの誘発に関してはヒスタミンが重要なメディエーターと考えられている。従って、外耳道湿疹におけるかゆみの軽減に抗ヒスタミン薬は有用であると予測される。今回、われわれは外耳道湿疹患者 (15歳以上) を無作為選択 (封筒法) により、ステロイド外用剤 (ベタメタゾン・ゲンタマイシン配合剤) 単独治療群 (30例) と第二世代抗ヒスタミン剤である塩酸フェキソフェナジン1201ng/日を併用した治療群 (39例) に分け、1週間の治療後に外耳道所見、ならびに自覚症状 (かゆみスコアにて評価) の改善度を比較し、塩酸フェキソフェナジンの外耳道湿疹における有用性を検討した。治療終了時における外耳道所見の改善度ではステロイド外用剤単独治療群と塩酸フェキソフェナジンを併用した群の間に有意差は認められなかったが、自覚症状 (かゆみ) においては併用群に有意に高い改善効果を認めた (p<0.05)。外耳道湿疹におけるかゆみに対して塩酸フェキソフェナジンの有意な改善効果が示されたことになり、外耳道湿疹におけるこの薬の有用性が示唆された。