著者
濱島 高志 池田 栄人 上島 康生 城野 晃一 斎藤 朗子 栗岡 英明 依田 建吾
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.59-62, 2001-02-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

An 18-year-old Jehovah's Witness injured in a traffic accident developed hypovolemic shock. Total blood loss due to a crushed pelvic fracture and degloving injury of the lower limb was estimated at more than 3, 000ml and the patient's hematocrit fell to 10.8%. The patient refused blood transfusion on religious grounds, virtually ensuring death. Failing to provide blood transfusion involved the following potential problems: i) the truck driver hitting the patient could charged with homicide rather than unintentional infliction of injury, and ii) the hospital could be sued by the patient's family or the truck driver for not providing reasonable treatment. Blood on these considerations, we transfused the patient with 30 units of blood before obtaining consent. The patient recovered uneventfully thanks to the blood transfusion followed by embolization of the iliac artery and surgery. Fortunately, neither the patient nor his family complained about treatment, and even thanked us.
著者
石井 仁平 田中 信孝 糟谷 美有紀 野村 幸博 永井 元樹 脊山 泰治
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.169-174, 2005-04-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
12

外傷性大量気道内出血に対し,一般的なシングルルーメン気管チューブを用いて健側主気管支に挿管(片肺挿管)し,救命に成功した症例を経験したので報告する。症例は16歳の男性,バイク事故により受傷し当院に救急搬送された。来院時,左側気道からと考えられる大量気道内出血を呈していた。われわれは,シングルルーメン気管チューブを意図的に健側である右主気管支に挿管した。右主気管支内でカフを膨らませることによって,患側左主気管支から溢れた血液が右肺へ流入するのを阻止し,症例は血液ガス分析および胸部X線写真上の劇的な改善を示した。片肺挿管下でも肺内シャントによる低酸素血症は来さず,他の止血操作を待たずに止血を得た。これには低酸素性肺血管収縮が関与していると考えられる。また片肺挿管下では,患側気管支は気管壁と気管チューブの間隙を通じて咽喉頭に開放されているため,片肺挿管後いったんは患側肺に充満した血液は,翌日気管チューブのカフを気管に移す前におおむね消失し,凝血塊による無気肺やその他の合併症は生じなかった。大量気道内出血症例の救命は難しく,ダブルルーメンチューブその他の特殊な道具を用いた方法が知られているが,依然として致命率が高い。われわれは,通常の気管挿管に使用される一般的なシングルルーメンチューブを用いた片肺挿管法は,迅速・簡便かつ有効な方法であると考える。
著者
篠崎 広一郎 北村 伸哉 平野 剛 吉田 明子 平澤 博之
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.10, pp.573-580, 2005-10-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
15

われわれは縊頸症例の臨床経過を検討し,これらの転帰を左右する因子を見極めることを目的に,実験的に解明している病態生理を考察した。【対象と方法】1998. 4~2003. 8に経験した自殺企図411例のうち,縊頸44例を対象として検討した。完遂率に関しては他の自殺企図手段と比較した。救急隊現場到着時(以下,現着時)cardiopulmonary arrest (CPA)の群とnon-CPA群に分け,転帰及び臨床経過を検討した。後者を来院時の意識障害の程度で2群に分け,年齢,男女比,縊頸形態,死亡率,社会復帰率,遅発性無酸素症後脳症の発症率に関して検討した。また,全縊頸症例において転帰を左右する因子として年齢,男女比,縊頸形態,現着時CPAの有無を取り上げその関与につき検討した。【結果】縊頸は検討期間の自殺企図手段の10.7%を占めるが,完遂率は75%と他の手段に比して最も高かった。現着時CPAの縊頸は33例あり,このうち7例に自己心拍の再開を認め,そのうち1例のみ社会復帰したが6例は死亡した。一方,現着時non-CPAは11例あり,死亡は1例,残り10例は社会復帰した。この11例には意識障害の程度で分類した2群間で背景因子や臨床経過・転帰に有意な差を認めなかった。また,全44例の転帰を左右する因子では,現着時CPAの有無にのみ有意差を認めた。【考察】縊頸で脳血流が途絶し,気道が閉塞すると,中枢神経系の不可逆的障害に次いで,心臓を含めた各臓器の固有機能が停止する。従って,現着時CPA症例の予後は不良であるとともに,CPAの有無が目撃者に乏しい縊頸の転帰を左右する唯一の因子となることが判明した。一方,自律神経反射にて短い経過時間でCPAに陥った症例では,早期に縊頸を解除し適切な処置を施行することで,速やかな心拍再開が見込まれ救命可能である。【結語】今回の検討結果を踏まえ,現着時CPAであった縊頸症例の治療に関しては,慎重に考慮する必要があると思われた。
著者
井上 哲也 皆川 邦朋 松田 岳人 山口 芳裕 村田 厚夫 島崎 修次
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.72-76, 2003-02-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
5

A 40-year-old Japanese man was brought to our hospital presenting with a deterioration of consciousness and respiratory failure after being bitten by an imported snake. On admission, he was in a deep coma with generalized paralysis. Because of his difficulty in breathing, he was intubated orally and controlled mechanical ventilation was started. To identify the snake, we obtained a photocopy of the snake and transferred it to the Japan Snake Institute via E-mail. The snake was identified as Bungarus candidus, and the antivenom was transferred to our hospital by a police car. The antivenom was given 16 hours after the bite, and neostigmine was administered for 10 days. The patient recovered from the respiratory paralysis six days after admission. His muscle weakness gradually improved, and he was discharged from hospital on the 44th hospital day. He continues to complain of fatigue almost one year after the incident.
著者
伊波 寛 石垣 敬子 小笠原 隆行 奥田 佳朗
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.158-162, 1998-04-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

CPR was performed on a cardiac arrest victim who had received a kick to the side. We succeeded in reviving the victim after more than two-and-a-half hours of closed-chest cardiac massage (CCCM). One factor in success of CPR is initiation of CPR immediately after cardiac arrest. Other factors are early administration of oxygen and a young patient. It is thought that the reason the CPR took so long to succeed despite having been initiated immediately after arrest was because CCCM inside the ambulance proved to be ineffective. A CCCM machine (thumper) is essential for performance of in-ambulance CCCM. It is difficult to decide when to stop CPR in emergency situations where there is a lack of diagnostic equipment for vital signs.
著者
Anthony T. Tu
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.91-102, 1997-03-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
36
被引用文献数
1

化学兵器は第一次世界大戦中に誕生し盛んに使われたが,その後大規模にはあまり使われなかった。しかし最近その有用性が再認識され,この古い兵器が再び脚光を浴びるようになった。化学兵器は原料もたやすく手に入り,製造も簡単なため,貧乏国の核爆弾といわれる。オウム真理教のサリンテロ行為で,化学兵器は戦場のみならず,これからは公衆に対してテロリズムに使われる可能性がますます強くなった。本文は化学兵器の生体に対する毒作用と治療が目的であるが,限られた誌面ですべての化学兵器について述べることは不可能なので,神経ガスに重点を置き,他のガスの作用は比較的簡略に述べた。多くの種類の化学兵器があるが,実際に兵器として採用されている数は比較的少ない。アメリカ軍を例にとっても実際に化学兵器として採用され,貯蔵されているのはサリン,タブン,VX,マスタードガス,ルイサイトの5種類のみである。神経ガスは神経伝達に必要なアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害する。それに対する薬はいろいろあるが,どの薬もすべての神経ガスに一様に効くわけではない。薬の効果は神経ガスによって異なる。オキシム系の薬(例えばPAM)とアトロピンとの併用は,単独で使うより治療効果が大とみなされている。ジアゼパムは痙攣を防ぐのに効果があり,三者併用はさらによいといわれている。他の毒ガス,例えばマスタードガス,ホスゲン等には特効薬はなく,対症治療が主な方法である。既存の毒ガスのみならず,新しい型の毒ガスにも注意し,その治療法についても検討すべきである。
著者
青木 芳朗
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.121-131, 1999-03-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
13

原子力発電所の事故では,放射線障害を引き起こすような人身事故の発生はきわめて稀である。むしろ,放射線発生装置の取り扱い不注意による人身事故が多発している。わが国でも,非破壊検査用のイリジウム線源による被曝事故,X線解析装置の取り扱いミスによる放射線熱傷等が報告されている。外部被曝患者を治療する際には,術者は特別な注意を必要としない。しかし,放射性物質による汚染患者の取り扱いには,術者が二次汚染しないように十分な注意が必要である。汚染患者を治療するときには,(1)鉛エプロンなどで遮蔽,(2)ピンセットなどを用いて距離を確保する,(3)治療時間を短くする,(4)素手で患部を触れない,などの放射線防護の基本を守ることが必要である。放射線による骨髄障害は,成分輸血,rhG-CSFなどのサイトカインやOK-432,アンサーなどの放射線防護剤によって治療可能である。しかし,消化管障害や中枢神経障害には治療法がなく,対症療法にならざるを得ない。放射性物質による内部汚染患者の治療には,汚染した核種を体内より除去するキレート剤(239Puに対してはDTPA, 137Csに対してはプルシアンブルー,131Iに対してはヨウ素剤など)が用いられる。生命が危険な状態の放射能汚染患者の治療では,救命措置が優先され,除染はバイタルサインが安定してから行っても遅くはない。
著者
箕輪 良行 柏井 昭良 井上 幸万
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.9, pp.444-450, 2000
被引用文献数
1

目的と背景:自動二輪車と自転車の乗用者ヘルメット着用は,頭部外傷を減らし死亡率を下げると実証されている。大宮市は人口44万人で交通の要地にある首都圏の都市である。約25年間にわたり児童がヘルメットを着用して通学している小学校がある。ヘルメット着用の義務化が交通事故およびその死亡を減らすかを検討するのが本研究の目的である。方法:遡及的なケース・コントロール法で検討した。市内36の小学校の生徒(延べ約20万人)を対象母集団とした。89~95年度に学校管理内外に発生した学童の交通事故およびその死亡について調べた。年間交通事故件数が10件以上の主要な国道および県道から1km以内にすべての小学校が存在している。ヘルメット全員着用を指導している4校と,91年前後に着用を自由化(中止)した4校をケース群とした。これ以外の28校をコントロール群とした。着用を自由化した前後で期間を分けて,交通事故件数,死亡者数を比較検討した。結果:89~91年度(前期)から92~95年度(後期)で36校の生徒1,000人当たりの年間交通事故件数(事故率)は1.0から1.4に増加した(p<0.05)。ヘルメットの全員着用を自由化した4校(自由化群)の事故率は前期0.4から後期1.6に有意に増加した(p<0.01)。全員着用を継続した4校(全員着用群)の事故率は,前期1.3から後期0.4へ減る傾向がみられた。ケース群の全員着用群と自由化群のうち前期の部分を合わせたものの事故率は0.7で,コントロール群と自由化群の後期を合わせたものの事故率1.3に比して低かった(p<0.05)。36校全体の死亡数は前期0人から後期3人へ増加した。全員着用群では期間中に死亡がなかった。結語:交通の要地である都市で実施されてきた小学校児童のヘルメット着用は,交通事故および死亡を減らしたと示唆された。
著者
稲桝 丈司 折居 麻綾 中村 芳樹 黒島 義明 鈴木 亮 菊野 隆明 市来嵜 潔
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.263-266, 2003-05-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
10

A 52-year-old man was admitted after sustaining a gunshot wound to the head. The patient had been ambulant at the time of impact but collapsed suddenly and was comatose upon admission. Brain computed tomography (CT) scans revealed an acute subdural hematoma with marked midline shift; an emergency evacuation of the hematoma and craniectomy were performed. He recovered neurologically and underwent cranioplasty using autologous bone two weeks after the initial surgery, but he developed a wound infection and subdural empyema, necessitating another debridement surgery. Cranioplasty using a ceramic bone was performed two months after the debridement, and he was discharged with no neurological deficits. Gunshot wounds to the head have a higher rate of postoperative infection than closed head injuries; thus, debridement to remove as much bony and missile fragments as possible is important.

8 0 0 0 OA 挫滅症候群

著者
横田 順一朗
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-16, 1997-01-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
120

本総説では挫滅症候群に関する歴史,疫学,病態生理,診断と治療などを解説し,あらためて同症候群の臨床的意義を探ってみたい。挫滅症候群とは,四肢が長時間圧迫を受けるか窮屈な肢位を強いられたため生じる骨格筋損傷により,救出後から急速に現れる局所の浮腫とショックや急性腎不全などのさまざまな全身症状を呈する外傷性疾患である。同症候群は長時間の臥床に伴う偶発的な筋圧挫としても散発例をみるが,通常は地震,空襲などにより倒壊した家屋の下敷きになって集団で発生する。長時間の骨格筋圧迫による筋崩壊のメカニズムについては,膜伸展による損傷(stretch myopathy)と虚血とが指摘されている。圧迫解除によって急速に骨格筋に浮腫が生じ,骨格筋特有のコンパートメント症候群(筋区画症候群)へと進展する。この機序として活性酸素などが関与する再灌流障害が推定されているが,明確にされていない部分も多い。崩壊した骨格筋細胞へは水分が移行し,細胞内からはカリウム,ミオグロビンなどさまざまな細胞内物質が流出する。この結果,細胞外液の喪失による低容量性ショック,高K血症,代謝性アシドーシス,急性腎不全などが生じる。骨格筋を長時間圧迫する特異な受傷機転と四肢の知覚・運動麻痺の存在が診断の根拠となる。輸液療法が治療の主体をなすが,その目的が細胞外液の補充に留まらずカリウムを排泄させることにあるため,強制利尿並みの大量投与を行う。とくに救出現場から輸液を開始することにより,急性腎不全を回避できる可能性が高くなる。高K血症の進展や腎不全が完成すれば透析療法の適応となる。コンパートメント症候群に対する筋膜切開の適応については意見が分かれている。トリアージや患者搬送なども治療成績を左右するため,集団災害時での同症候群への対応についても言及する。
著者
森松 嘉孝 木下 正治 松岡 昌信 嶋田 亜希子 堀田 まり子 坂本 照夫 相澤 久道
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.11, pp.612-617, 2004-11-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
12

We report a rare case of progressive severe pulmonary failure due to exposure to dimethyl sulfate vapor. The patient is a 48-year-old man who carried four bottles of dimethyl sulfate on the carrier of a truck and one of them was broken. After he had been cleaning up the carrier for an hour while covering his nose and mouth with a dry towel, he had felt pain of his eyes, pharyngolarynx and nose. He went to an emergency hospital on foot 3 hours after exposure, because he felt obstruction of the pharyngolarynx, hoarseness and dyspnea. He was immediately intubated due to severe hypoxia and was immediately administered hydrocortisone intravenously, and methylprednisolone inhalation therapy was prescribed for ten days. Tracheostomy was performed the 5th day following the onset of symptoms because of severe laryngeal edema. Sputum and strider continued after steroid therapy was suspended because of Pseudomonas aeruginosa infection. The steroid therapy was resumed as transbronchial lung biopsy suggested peribronchiolar inflammation with granulation change, and he improved promptly. However, he had another bout of pneumonitis thereafter, and dyspnea and hypoxia gradually developed. Home oxygen treatment was introduced the 5th year after onset, and then roentgenogram showed severe emphysematous change, and now he is listed for lung transplantation. We ewcommend a high dose of steroid in the acute phase and a low dose of erythromycin for a long term in case of lung injury due to exposure to dimethyl sulfate.
著者
吉田 哲 安田 季道 白川 寛夫
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.9, pp.389-394, 1997-09-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
16

We experienced a case of severe systemic hyper-sensitivity reaction with sustained shock and disseminated intravascular coagulation (DIC) following intravenous injection of milk. A 41-year-old nurse injected 150ml of cow's milk into her vein in a suicide attempt. Chills, high fever, nausea and systemic erythema appeared immediately after the injection. On admission, her circulation was severely collapsed, and marked loss of peripheral vascular resistance was demonstrated by Swan-Gantz catheter monitoring. Laboratory data revealed a transient leucopenia with a decrease in the serum level of complement, which was followed by a marked leukocytosis over a week. DIC and hypercalcemia were also observed. The hyperdynamic shock was resistant to therapy during the first 24 hours, but was successfully treated by high doses of methylprednisolone, norepinephrine and fluid resuscitation. DIC could be managed by the administration of nafamostat mesilate and an AT III agent. No fat embolism or bacteremia was observed. The patient was discharged from our hospital without any complication on day 10. It was assumed that the type III allergic reaction to foreign proteins in cow's milk was responsible for the severe systemic reaction observed in our patient.
著者
臼元 洋介 一二三 亨 霧生 信明 井上 潤一 加藤 宏 本間 正人 乾 昭文
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.174-179, 2008-03-15

電撃傷は生体内に電気が通電することによって発生する損傷を総称しており,雷撃傷も同様に扱われることがある。しかしながら,雷撃傷は受傷時の状況,臨床症状,予後などにおいて,電撃傷とは異なる特徴をもっている。今回我々は,登山中同時に落雷にあい,当院へ救急搬送された雷撃傷の 2 例を経験した。66歳の男性と52歳の女性が大木の下で雨宿りをしている最中に落雷にあった。男性は心肺停止(cardio pulmonary arrest; CPA)状態で搬送され蘇生せずに死亡,女性は第 7 病日に後遺症なく独歩退院した。 2 例とも搬送時に,雷撃傷に特徴的である電紋を認めた。電紋は,体の表面に沿って火花放電(沿面放電)が起きたときに生じる熱傷であるが,電気学的な観点からこの放電は樹枝状に伸展することがわかっている。また電紋の枝の広がる方向を観察することにより,電流の流れた方向が推測できる。今回経験した 2 症例をもとに,生存者の問診から得た情報と電紋の観察から,電流の流れと転帰について考察した。CPA症例では,側撃雷といわれる現象がその転帰に大きく関与していたと考えられ,従来の直撃雷のみではなく,側撃雷についてその啓蒙的意義をふまえて報告する。
著者
相川 直樹
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.7, pp.641-654, 1994-12-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
107
被引用文献数
3 1

重症の救急患者にみられるショックや臓器障害の病態は侵襲に対する生体反応に起因し,その発生機序にサイトカインが重要な役割を演じている。サイトカインはエンドトキシンなどに対しマクロファージ,単球,リンパ球,好中球などが産生する生理活性物質で,多くの種類がある。腫瘍壊死因子(TNF),インターロイキン(IL)-1, IL-6, IL-8などは炎症性サイトカインと言われ,とくにTNF-αとIL-1とは侵襲直後に産生され,他のサイトカインや種々のメディエータの産生を誘導する。エンドトキシンなどの外因を投与しなくても,TNF-αやIL-1-βの投与によりショックや臓器障害が起こることは,外因に対する生体反応がショックや臓器不全を起こすことの証拠として重要な知見である。IL-6は急性相反応のalarm hormoneの役割を演じ,IL-8は好中球の走化・活性化因子としてARDSの病因となる。一方,IL-4, IL-10,可溶性TNFレセプター(TNFsr)やIL-1レセプターアンタゴニスト(IL-1ra)などは抗炎症性サイトカインであるが,侵襲下では炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインの両者とも産生が亢進する。サイトカインの多くはautocrineやparacrineとして局所で作用し,侵襲に対する生理的反応に不可欠な物質である。しかし,高度の侵襲によりサイトカインが多量に産生されたり,サイトカイン産生の制御機構が破綻すると,血中に種々のサイトカインが高濃度検出されるようになる。このような高サイトカイン血症で惹起される過大な全身性炎症反応から,自己破壊的なショックや臓器障害が起こる。この状態を筆者はサイトカイン・ストーム(cytokine storm)と称している。種々の病態におけるサイトカインの役割の解明とともに,抗サイトカイン療法が新しい治療法として注目され,とくにキー・メディエータであるTNFやIL-1の制御を目的として,抗TNF抗体,IL-1ra, TNFsrの応用が試みられている。抗サイトカイン療法はリスクの高いサイトカイン・ストーム下の患者でその効果が期待される。
著者
池田 弘人 金子 一郎 多河 慶泰 遠藤 幸男 小林 国男 鈴木 宏昌 中谷 壽男
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.190-194, 2001-04-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
21

A middle-aged man was found unconscious at apartment after ingesting gamma hydroxybutyric acid (GHB) purchased via the internet sales and was admitted to our critical care center. He underwent gastric irrigation and respiratory assistance with intubation at the emergency room due to a probable drug overdose and respiratory acidosis. After fully recovering, he admitted he had taken large doses of GHB with alcohol. The US Federal Drug Administration (FDA) banned GHB sale as an OTC drug in 1991 but has not succeeded in controlling increased GHB addiction. Unconsciousness, coma, hypothermia, bradycardia, hypotention, muscle weakness, myoclonus, convulsion, respiratory distress, and vomiting are common symptoms after GHB ingestion. Treatment such as gastric irrigation, atropine for bradycardia, and respiratory assistance in hypoxia are recommended. Little attention is paid to GHB in Japan because of its rarity and its sale is not illegal, unlike the strict restrictions in the US and European countries. With GHB available over the Internet, its abuse is expected to increase.
著者
山本 紳一郎 増田 卓 松山 斉久 佐藤 清貴 盛 虹明 北原 孝雄 大和 田隆
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.189-200, 1997-05-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
30
被引用文献数
2 1

クモ膜下出血(SAH)急性期に認められる心電図異常を中枢性・末梢性交感神経系の活動および心筋障害の程度と対比し,心電図異常の成因について検討した。発症24時間以内の破裂脳動脈瘤によるSAH677例に対して,来院時より24時間の心電図モニターを行い,不整脈を認めなかった281例をA群,心室性期外収縮,心室性頻拍,心室細動の3種類以外の不整脈を認めた274例をB群,心室性不整脈として心室性期外収縮,心室性頻拍,心室細動のいずれかを認めた122例をC群とした。来院時に血圧,脈拍,意識状態,頭部CT検査を行い,心筋逸脱酵素,心筋収縮蛋白,カテコラミン,ノルアドレナリン代謝産物のMHPGを測定した後,脳動脈造影を施行した。3群間では年齢に有意差はなく,不整脈はSAH急性期の58%に出現し,不整脈として洞性頻脈,心室性期外収縮,上室性期外収縮などが多く認められた。来院時の血圧,心拍数はA群に比べB群あるいはC群で有意に上昇し,QTc間隔はA群に比べC群で有意に延長していた。また来院時の電解質濃度あるいは脳動脈瘤の部位には3群間で有意な差は認めなかった。不整脈はWFNS分類によるgrade 1V, Vの重症例に多く出現し,Fisher分類によるSAHの程度ではA群およびC群に比べB群でgroup 4の割合が高かった。血漿ノルアドレナリン,アドレナリン,MHPG濃度はA群と比較してB群およびC群でいずれも有意に上昇していた。血清CK-MB,ミオシン軽鎖およびトロポニンTの最高値は,A群およびB群に比較してC群で有意に高値を示した。SAH急性期の心電図異常は,交感神経系活動の亢進による機能的な変化から出現する場合と,カテコラミンによる心筋障害のために出現する場合があると考えられる。また,心室性不整脈を認める例ほど心筋障害を合併している可能性が高く,SAH急性期に認められる心肺機能停止との関連が示唆された。
著者
Takashi Wakahara Nobuaki Wada
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.175-180, 1994-04-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
11

A 18-year-old man was admitted with a complaint of enormous abdominal distension and gasping respiration. The patient's colon was inflated as a result of having compressed air forced through the anus by his fellow worker. Chest and abdominal X-ray and arterial blood gas analysis revealed enormous pneumoperitoneum, hypercapnia and hypoxemia (pH 7.10, PCO2 84.9mmHg, PO2 33.5mmHg). A large amount of gas (air) was released from the abdomen by puncture on the right upper quadrant, and hypercapnia was rapidly improved. Gastrografln enema revealed rupture of the transverse colon and emergency operation was performed. There was a rupture, 3cm in diameter, in the transverse colon along the tenia coli omentalis. Multiple serosal tears (16 in total) were also found throughout the remaining colon.
著者
竹之内 信 上原 淳 笠井 博人 矢島 敏行 間藤 卓
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.12, pp.633-638, 2005-12-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
13

症例は26歳の女性。自殺目的で市販鎮咳薬1箱(マレイン酸クロルフェニラミン45mg,リン酸ジヒドロコデイン180mg,塩化リゾチーム180mg)を約70gのアルコールと共に服用した。服用から約6時間後に意識混濁し路上で倒れているところを発見されたが,約30秒間の強直性痙攣発作を認めたため当センター収容となった。意識は徐々に改善し翌朝までに意識清明となったが,それに伴って上肢および頸部のミオクローヌスが出現した。ミオクローヌスの持続時間は徐々に短くなったが,第5病日まで持続した。なお,来院時と第5病日に施行した頭部CT検査では明らかな異常所見を認めなかった。中枢神経症状に加えて,一般検査では血清クレアチンキナーゼ値と血清クレアチニン値の上昇を認めたほか,著明な全身掻痒感を伴うなど,多彩な中毒症状が認められたが,いずれも数日の経過で軽快した。来院時の血中薬物濃度分析ではマレイン酸クロルフェニラミン濃度が1,200ng/mlときわめて高値であり,文献的に報告されている致死濃度を上回るものであった。第一世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬による中枢神経系副作用はよく知られているが,市販薬として入手が容易であり,本症例のようにアルコールと併用した場合には少量でも多彩な中毒症状を来すことがあるため改めて注意が必要である
著者
久保山 一敏 吉永 和正 丸川 征四郎 上野 直子 切田 学 大家 宗彦 細原 勝士
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.7, pp.338-344, 2000-07-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
12
被引用文献数
1

Case: An 11-month-old boy bruised his head and experienced convulsions, followed by a coma with decerebrate rigidity. Initial CT scans showed an acute interhemispheric subdural hematoma and diffuse brain swelling. On day 2, he developed dilated pupils, absent light reflex, and sudden hypotension. Dopamine (DOA) and antidiuretic hormone (ADH) were administered to maintain his circulation. CT scans on day 3 revealed brain tamponade. The patient was diagnosed as brain dead on day 15. The patient was thereafter maintained under mechanical ventilation. DOA and ADH requirements decreased gradually, resulting in shift from DOA to docarpamine on day 146 and in the cessation of ADH administration on day 245. On day 139, autolysed brain parenchyma was discharged through the anterior fontanel and necrotic skin, resulting in the appearance of pneumocephalus on CT scans on day 299. Repeated EEGs, ABRs, dynamic CTs and intracranial Power Dopplers supported the diagnosis of brain death. Nevertheless, the patient's height increased consistently from 74cm on day 1 to 82cm on day 253. The secretion of thyroid stimulating hormone was detected until day 252. The boy developed septic renal failure and died on Day 326. Discussion and Conclusion: Although brain death in adults is usually followed by early cardiac arrest, the infant in this case was sustained in a state of brain death for over 300 days using ordinary intensive care. An analysis of endocrinological function and growth records may help to clarify the mechanism of the patient's sustained heart beat.