著者
粟井 和夫 中野 由紀子 石田 万里
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

心臓CT受診患者45人を対象に、CT検査前、直後、24-48時間後の末梢血リンパ球を採取し、DNA二本鎖切断修復関連蛋白(γH2AX)の定量を行い、CTにおける被曝の物理的指標(CTDI, DLP, SSDE)とDNAの損傷の程度の相関を検討した。また体の体幹部を模倣したファントムの中心に血液を封入したシリンジを挿入し、それに対してCT撮影を行い、CTDI、DLP、SSDEとDNAの損傷が相関するか否か検討した。臨床検討およびファントムの検討により、DNA二重鎖はCT直後より切断され、その程度はCTの物理線量と相関することが判明した。
著者
岡村 祥央 中野 由紀子
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.58-65, 2023-04-04 (Released:2023-04-07)
参考文献数
12

QRS時間の延長は脚ブロックなどの心室内伝導障害だけでなく,副伝導路症候群や心室不整脈など,様々な病態で目にする.12誘導心電図のQRS波形を読み解くことで,心室内刺激伝導系の遅延伝導部位や副伝導路の局在,および心室不整脈の起源を評価することが可能であり,正常心電図を含めたQRS波形を理解することが重要である.さらに背後に隠れている基礎心疾患の鑑別も重要であり,特に心室内伝導障害や心室不整脈の原因にはサルコイドーシスのような早期治療介入により心筋障害が改善する疾患も存在する.QRS時間の延長は独立した予後不良因子であり,特に左脚ブロックに関しては心臓再同期療法などの治療介入により,積極的にQRS時間の短縮を目指す必要がある.また副伝導路症候群や心室不整脈に対しては,症例ごとにカテーテルアブレーションや植込み型除細動器の適応を検討すべきである.