- 著者
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中野 茂樹
桑田 雅彦
長谷川 浩之
入村 兼司
丸伝 章
森田 健一
- 出版者
- 日本毒性学会
- 雑誌
- The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, pp.13-59, 1989-10-31
- 被引用文献数
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ラットにP-4を2, 10, 50および150mg/kg/dayの投与量で13週間経口投与し, その亜急性毒性ならびに回復性を検討し, 以下の知見を得た. 1. 一般状態の観察では, 50mg/kg/day以上の雌雄各群で投薬後一過性の流涎と主に雌で尿による下腹部の汚染が観察された. その他に重篤な中毒症状はみられず, P-4投与によると思われる死亡例もなかった. 2. 体重は, 雄の50mg/kg/day以上, 雌の150mg/kg/dayの群で増加抑制がみられたが, 摂餌量に著しい変動はなかった. 摂水量は雌雄とも50mg/kg/day以上群で, 投薬初期より明らかな増加を示した. 3. 尿検査では, 50mg/kg/day以上の雌雄各群で尿量の増加, 浸透圧の低下, 蛋白およびウロビリノーゲンの陰性化, さらに電解質排泄量の軽度増加がみられた. 4. 血液学的検査では,150mg/kg/day群の雌雄に赤血球数の増加およびAPTTの短縮, さらに雄ではヘモグロビン量およびヘマトクリット値の増加, 白血球数の減少と雌ではフィブリノーゲン量の増加がいずれも軽度にみられた. 5. 血液生化学的検査では, 雄の50mg/kg/day以上および雌の150mg/kg/dayの群に中性脂肪の減少とγ-GTPおよびAlP活性, および尿素窒素の増加がみられた. さらに雄では総および遊離コレステロール, およびリン脂質が減少し, 雌では総コレステロールの増加およびコリンエステラーゼ活性の減少がみられた. 6. 病理学的検査では, 50mg/kg/day以上の雌雄各群に胸腺および脾臓の肉眼的萎縮がみられたが, 病理組織学的異常は認められなかった. 雄の50mg/kg/day以上および雌の150mg/kg/day群では肝臓重量または重量比が増加し, 病理組織学的検査で肝細胞の肥大および脂肪変性が観察された. 電子顕微鏡検査では, 同群でさらに肝細胞に著明な滑面小胞体の増殖を認めた. 腎臓では, 雄の10mg/kg/day以上, 雌の50mg/kg/day以上の群の近位尿細管上皮細胞内に好酸性の核内封入物を認めたが, その細胞質に腎障害像は全くみられなかった. 7. 回復試験では, P-4投与によるいずれの変化も回復ないし回復傾向を示し, 可逆性の変化であることが示唆された. 8. 無影響量は雄で2mg/kg/day, 雌で10mg/kg/day, 確実中毒量は雄で50mg/kg/day, 雌で150mg/kg/dayと推察された.