著者
丸島 歩
出版者
日本実験言語学会
雑誌
実験音声学・言語学研究 (ISSN:18836763)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.16-31, 2022-03-24 (Released:2023-06-15)
参考文献数
26

女性と男性の話し方の違いを音声面から観察するために、女性声優が演じた男性役と女性役の演技音声を比較した。ここでは特に、文末のイントネーションに着目することにした。また、イントネーションは性格印象に与える影響も大きいため、聴取実験によって分析した音声の役柄の性格印象に関するデータも得た。その結果、男性役では「平調」、女性役では「疑問型上昇調」を多く用いる傾向が見られたが、男性役では役柄の性格によっては「強調型上昇調」を多く用いていた。 また、役柄の性別を問わず、外向性が高く勤勉性が高くない役柄では、文末以外の切れ目に「上昇下降調」が多く観察された。
著者
丸島 歩
出版者
筑波大学一般・応用言語学研究室
雑誌
言語学論叢 オンライン版 (ISSN:18826601)
巻号頁・発行日
no.第 2 号 (通巻 28 号 2009), pp.48-56, 2009-12-31

従来、日本語音声のテンポの速さを表す指標として、主に「一定時間におけるモーラ数」が用いられてきた。しかし、聴覚上のテンポはこの数値と一致するとは限らない。そこで、日本語母語話者を対象にした聴取実験を行った結果、速いと感じられる音声は全体的なピッチが高く、その変動も大きいという傾向が見られた。また、全体的な構造も観察したところ、ポーズを含んだ指標である「発話速度(Speech rate)」の方が発話部分のみの速度である「調音速度(Articulation rate)」よりも聴覚印象と相関があることが明らかになった。