著者
今井 健仁 中村 友紀 丸橋 佑基 中野 隆
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.9-15, 2019

<p>ヘアカラーリングで用いられる主要なブリーチ成分における,メラニン顆粒の分解パターンの違いについて透過電子顕微鏡による毛髪横断面観察から調査した。過酸化水素を共通成分とし,アンモニアおよびモノエタノールアミンでは毛髪中心部寄りのメラニン顆粒から分解され,炭酸塩および過硫酸塩では毛髪外周部のメラニン顆粒から分解されるという逆の挙動を示した。これらの違いは,メラニン顆粒は毛髪外周部に多いという分布特性のほかに,ブリーチ成分の毛髪浸透性とメラニン顆粒に対する酸化分解力の違いも関係していることが示唆された。また,アンモニアと炭酸塩を併用すると毛髪全体にわたってメラニン顆粒が均一に分解され,より効率的にブリーチ性能が発揮できる可能性が示唆された。</p>