著者
丹野 宗彦 山田 英夫 村木 俊雄 田渕 博己 村田 啓 千葉 一夫 浅津 正子 小野寺 洋子 千田 麗子 染谷 一彦
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.271-274, 1983-06-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
6

ラットを用いて絶食時の飼育温度が甲状腺ホルモンの代謝, 動態にどのような影響を及ぼすか検討した。その結果, 23℃, 5日間の絶食では, 血清サイロキシン (T4) , 3, 5, 3'-トリヨードサイロニン (T3) , free T4およびreverse T3 (rT3) 値は対照群に比して有意の低下を示した。絶食群間でT4, free T4およびrT3値を比較してみると, free T4値は低温になるほど増加傾向を示したのに反して, T4値は, 23℃, 18℃, 15℃絶食群間では有意差を認めなかった。また, rT3値は寒冷になるほど増加傾向を示した。30℃絶食群ではいずれの甲状腺ホルモンも対照群に比して著明な低下を示した。これらの実験結果より, 絶食時の甲状腺ホルモンの代謝は, 絶食時の気温により変動し得ることを示唆するものである。
著者
丹野 宗彦 中山 雅文 京増 芳則 川上 睦美 間島 寧興 遠藤 和夫 千葉 一夫 山田 英夫 丹野 瑳喜子 笠原 洋勇
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.190-197, 1992-03-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
16
被引用文献数
1

脳幹部に疾患が疑われ, 脳幹部のMRIを施行した97症例のMRI所見につき検討した. 対象は昭和63年6月より平成元年3月迄に施行した97症例である. その内訳は男性53症例, 女性44症例である. 平均年齢は共に71歳である. 病変の判定はT1強調像, T2強調像およびプロトン像で行った.その結果, 1) 61歳以上の高齢者では脳幹部, 特に橋部に病変を認めた症例が多く, その内訳では梗塞例が最も多かった. また橋部にT2強調像で高信号域を認め, T1強調像で同部の異常信号を認めないMRIの画像診断上, いわゆる典型的な梗塞パターンを示さない症例も多く認められた. 2) この二つの所見を呈した症例では共に高い頻度で基底核, 視床などに病変を合併していた. 3) 高血圧症の既往を有する症例では, 認めない症例に比して, 橋部により高い頻度で病変を認めた (α<0.01)
著者
西野 英男 井手 宏 栗原 教光 丹野 宗彦 千葉 一夫 笠原 洋勇 柄澤 昭秀 長谷川 和夫 山田 英夫
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.138-146, 1988-03-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
21
被引用文献数
1

正常例と痴呆例の脳のCT所見を比較する場合, 老年者においては脳血管障害 (CVD) の有無により, 分けて検討しなければならない, そこで痴呆を主症状とする100名の老年痴呆患者と, 139名の健常老人ボランティアに対し, それぞれCVDの有無により二群に分類し, 年齢構成別に頭部CT所見の比較検討を行った結果, 以下のような結論が得られた.1. 健常老人ボランティアにおいても silent stroke をしめすものが約20%に見られ, これらを除くCVD (-) の健常老人のCT像を, 狭義の健常老人として, 痴呆脳のCT像の検討に際して対比することが必要と思われる.2. 狭義の健常老人においては側脳室拡大, 脳溝拡大, シルビウス溝の拡大の出現頻度は, 加齢と共に増大するが, PVL, 第三脳室拡大の頻度は加齢とともに増加せず, 80歳でも低値であった.3. 老人脳におけるPVLの出現頻度は血管障害の有無と関係が深いが, CVD (-) の痴呆患者においても, 加齢とともに増加した.4. 痴呆患者では側脳室拡大, 脳溝拡大, シルビウス溝拡大, 第三脳室拡大の頻度は, 年齢と関係なく, 脳溝拡大, 第三脳室拡大を除き一般にCVDを伴うものに高い傾向がみられた. これらの変化を健常老人と比較すると, 一般に80歳老人のそれにほぼ近かった.5. medial temporal lobe の萎縮を示す所見は50歳代のCVD (-) の痴呆例に最も高頻度に見られた. 60歳代以上の痴呆例においてはCVDの有無による差はなかった.6. 痴呆患者のCT像においては, PVL, 第三脳室拡大を除き, 加齢に伴う変化が早期より出現したり, より著明な変化を示すものが多いと言えるが, ほぼ年齢相応の変化を示すものも認められた.