著者
長谷川 和夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.411-417, 2016 (Released:2016-05-01)
参考文献数
20

高齢化社会の現在, 高齢者の幸福度は健康, 家族そして収入であろう. ことに高齢になると身体機能の衰退に加えて精神機能が低下し心身医学的な保健, 医療, 福祉の対応が基盤として整備されていることが必要になり, 私たち日本心身医学会に期待されている. 中でも認知症への対応は喫緊の課題であり, 薬物療法や対応するケアそして一般市民への啓発活動を行って, 虚弱高齢者を含めた地域ではぬくもりのある絆を作っていくことが求められる. 認知症ケアの国際的な主流であるパーソンセンタードケアの実施, すなわち個別的な自分史を十分に理解し, その人らしさを尊重する支え方が大切になる. さらに認知症の当事者が自分の体験を語る機会が増えているが, 患者さんや利用者の想いを取り入れていくことや, 介護する家族らを支えていくことなど, 私たち心身医療者へのなすべき責務を痛感する次第である.
著者
柳屋 光俊 続木 一夫 渡辺 隆啓 中島 康之 松田 冬彦 長谷川 和夫 松本 毅
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.22, pp.635-641, 1979-09-20

Pederin, a potent insect poison isolated from paedrus fuscipes, exhibits various interesting physiological activities, such as inhibition of mitosis in HeLa cell and blocking of protein synthesis at concentrations of 1-10 ng/me. We describe here the first total synthesis of pederin. Asymmetric Synthesis of Pedaldehyde Derivatives. Asymmetric reduction of ketone 14 was examined under various conditions. The desired alcohol 13R was obtained by reduction with LiAlH_4 in ether-toluene (54: 46) at -123°in 74% e.e. The alcohol 13R was converted stereoselectively to pedamide 28 (Fig. 4,5). Synthesis of N-acyl aminoacetals. A new general method for the synthesis of N-acyl aminoacetals was developed and the method was applied to the synthesis of pederin, starting from (+)-pederic acid and (+)-pedamide.
著者
長谷川 和夫
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.16, no.11, pp.965-969, 1974-11
被引用文献数
2
著者
西野 英男 井手 宏 栗原 教光 丹野 宗彦 千葉 一夫 笠原 洋勇 柄澤 昭秀 長谷川 和夫 山田 英夫
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.138-146, 1988-03-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
21
被引用文献数
1

正常例と痴呆例の脳のCT所見を比較する場合, 老年者においては脳血管障害 (CVD) の有無により, 分けて検討しなければならない, そこで痴呆を主症状とする100名の老年痴呆患者と, 139名の健常老人ボランティアに対し, それぞれCVDの有無により二群に分類し, 年齢構成別に頭部CT所見の比較検討を行った結果, 以下のような結論が得られた.1. 健常老人ボランティアにおいても silent stroke をしめすものが約20%に見られ, これらを除くCVD (-) の健常老人のCT像を, 狭義の健常老人として, 痴呆脳のCT像の検討に際して対比することが必要と思われる.2. 狭義の健常老人においては側脳室拡大, 脳溝拡大, シルビウス溝の拡大の出現頻度は, 加齢と共に増大するが, PVL, 第三脳室拡大の頻度は加齢とともに増加せず, 80歳でも低値であった.3. 老人脳におけるPVLの出現頻度は血管障害の有無と関係が深いが, CVD (-) の痴呆患者においても, 加齢とともに増加した.4. 痴呆患者では側脳室拡大, 脳溝拡大, シルビウス溝拡大, 第三脳室拡大の頻度は, 年齢と関係なく, 脳溝拡大, 第三脳室拡大を除き一般にCVDを伴うものに高い傾向がみられた. これらの変化を健常老人と比較すると, 一般に80歳老人のそれにほぼ近かった.5. medial temporal lobe の萎縮を示す所見は50歳代のCVD (-) の痴呆例に最も高頻度に見られた. 60歳代以上の痴呆例においてはCVDの有無による差はなかった.6. 痴呆患者のCT像においては, PVL, 第三脳室拡大を除き, 加齢に伴う変化が早期より出現したり, より著明な変化を示すものが多いと言えるが, ほぼ年齢相応の変化を示すものも認められた.