著者
久住 一郎
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.707-712, 2020 (Released:2020-12-01)
参考文献数
16

双極性障害は, うつ症状で発症することが多く, 初発時に単極性うつ病と鑑別することは容易ではない. しかし, その治療は後者では抗うつ薬が使われるのに対し, 前者では気分安定薬が用いられ, 抗うつ薬の併用は無効なばかりか, 気分変動を不安定化する. 双極性うつ病と単極性うつ病を鑑別する際に, Ghaemiが提唱した双極スペクトラム障害の概念は有用である. 特に双極性障害の家族歴や抗うつ薬によって惹起される軽躁・躁症状がある場合には, 発揚性パーソナリティ, 若年発症, 反復性の大うつ病エピソード, 短い大うつ病エピソード, 非定型うつ症状, 精神病性うつ病, 産後うつ病, 抗うつ薬の効果減弱, 抗うつ薬治療への非反応などの双極性障害を示唆する徴候 (bipolarity) を注意深くとらえることで, 潜在する双極性障害を見つけ出すことが可能になる.
著者
久住 一郎 伊藤 侯輝 豊巻 敦人 橋本 直樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

北海道内の精神科医療機関初診患者において初診患者(16-30歳)157名を対象に精神病発症高リスク状態(ARMS)患者の有病率を検討したところ、25名(15.9%)であった。統合失調症の病態に関係する生物学的マーカー(中間表現型)として、社会認知の基盤となるbiological motion(BM)知覚、自発的な意思に関わる遂行機能(スイッチング課題)、作業記憶過程(Sternberg課題)における事象関連同期が有用であることを見出した。