著者
久保 允人
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.526-530, 2015 (Released:2018-08-26)
参考文献数
18

気管支喘息や花粉症などのⅠ型アレルギーは,B細胞から産生される免疫グロブリンE(immunoglobulin E:IgE)によって引き起こされ,IgEは肥満細胞(マスト細胞)や好塩基球が持つ受容体に結合することで,アレルゲン特異的にアレルギー反応を誘導することが知られている.このIgEの産生は,T細胞から産生される2型サイトカインを必要とすることから,アレルギーはT細胞を必要とする免疫反応と考えられてきた.近年は,T細胞やIgEを介したマスト細胞の反応系が存在しなくてもアレルギーが起こり得ることが知られるようになって,好塩基球や自然リンパ球による免疫反応系の存在が明らかになり,これら自然免疫系の細胞に注目が集まっている(図1).そこで本稿では,好酸球性食道炎と喘息などのアレルギー性炎症を制御する自然免疫系の細胞について紹介する.