著者
中西 康裕 三宅 好子 川田 耕平 久保 友美子 今中 淳二 廣田 雅彦 後藤 淳宏 今村 知明
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.123-134, 2016 (Released:2017-09-11)
参考文献数
29

本研究では,800床規模の高機能を持つ平均的な大病院をモデルケースとして,まず薬剤収益を求める収益計算の一般的な線形式を作成した.その線形式を基に,後発医薬品導入率,院外処方率および薬剤値引き率等を変数として,変数の増減による薬剤収益の変動を分析した.後発医薬品導入率が0%から100%へ増加することで,収益は約2億1,143万円上昇した.DPCに包括される薬剤が後発医薬品に置き換えられることによって入院薬剤経費が削減され,さらに後発医薬品係数の上昇により診療報酬が増加した.しかし,院外処方率が10%から90%へ増加することで,後発品導入による収益増と同程度の約2億442万円の収益が減少した.院内処方を堅持している病院は,院外処方に切り替えた病院と比較してより多くの薬剤収益を上げていることが本分析によって示された.国の政策として,後発医薬品の推進は経済的インセンティブが有効に機能していると言える.だが,院外処方の推進については,すでに院外処方が主流であるものの経済的インセンティブが働いているとは言い難い状況であろう.
著者
杉岡 秀紀 久保 友美
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.129-158, 2007

大学(学生)ボランティアセンター(以下、大学VC)が大学に出来たのは、1987年の大阪キリスト教短期大学がその起源とされているが、(1)「大学生への教育効果」、(2)「社会・地域とのインターミディアリ機能」、(3)「大学の社会貢献」の3つをその存在意義として、1995年の阪神・淡路大震災以降一気に増えた感がある。しかし、同時にここ数年で見ると,量質ともに少し伸び悩んでいる印象がぬぐいされない。そこで,本研究では,大学VCの意義・役割,類型,事業内容などの概要を整理する中で、昨今注目されつつあるサービス・ラーニング(「学生達が人々とコミュニティのニーズに対応した活動に従事する中で学ぶ、経験的学習のひとつの形のこと。以下、「SL」)という概念に注目し、その大学VCへの導入の可能性を、関西を中心とする大学VCからのヒアリングの中から探ってみた。結論から言えば、大学ごとに多少の差異はあるものの、今後の大学VCには、「SL」の視点を導入することが、センターの存続のためにも必要不可欠な視点であるという事である。なお、この視点というのは地域と大学との連携協働のまちづくりを進める上でも重要なファクターになると筆者らは考える。