著者
金子 浩明 久保 裕史
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.95-106, 2014 (Released:2017-06-02)
参考文献数
15
被引用文献数
9

ステージゲート法は80年代に北米で開発され、多くのハイテク製造業に普及した。日本では90年代後半から普及したが、導入する際は日米の事業環境の違いを考慮する必要がある。米国はベンチャーキャピタルの資金が豊富で大学発ベンチャーが多く存在し、種となる技術の候補が外に多く存在しているため、多産多死型の研究テーマ管理が可能である。一方、日本では内部で産まれた種を大事に育てる必要がある(少産少死型)。しかし、ステージゲート法は段階的にテーマに絞り込んでいくので、育てる工夫が欠けるとテーマが枯渇してしまう。本論では日本のブティック型の化学系企業を題材に、少産少死型の研究開発に適したステージゲート法を提案する。
著者
葛西 恵里子 久保 裕史
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2022 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.37-51, 2022 (Released:2022-04-18)
参考文献数
11

クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達することであり、近年急速に市場が成長し、認知されつつあり、将来ものづくりに携わる希望をもつ大学生にとって、インターネットを活用したマーケティング4.0を学ぶための非常に実践的な手段として活用が可能である。クラウドファンディングは成功に至るまで様々な活動が必要なプロジェクトの集合体であり、全体として目標達成に向けた活動を行うプログラムであると位置付けられる。しかし学生とプログラム契約ができない下で、各プロジェクトを確実に実行できるかが不透明というリスクを持ち、運営には困難な側面も多い。本稿では、効率的かつ教育としての実のあるクラウドファンディングを実践するにあたり、P2Mにおける3Sモデルの各段階における統合マネジメントを採用し、必要な各プロジェクトを明らかにするとともに、リスク対策として、評価指標の共有による学生の能力と意欲の見える化を進めることで、意欲の持続化をはかることを提言する。
著者
田中 裕子 久保 裕史
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.160-172, 2018

我が国では、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、働き方の多様化などの状況に直面し、生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を発揮できる環境作りといった「働き方改革」が進められている。そのような中、人材流動化を実現する人材紹介業の役割はますます重要になると考える。しかし、人材紹介業においては、十分な経験とスキルを有する専門家が少なく、人材育成を急速に進めたとしても不足分を補えない状況であると認識している。そこで、本論文では、人材紹介業における専門家不足の状況に対して人工知能技術を適用した事例を用い、その取組みにおけるP2M理論の有効性を示すととともに、P2M理論にもとづきノウハウ共有における人工知能技術の有効性について論じる。
著者
清田 守 久保 裕史
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.159-177, 2018 (Released:2018-03-06)
参考文献数
23

製造業では新製品を利益のある産業に育てる事が困難であるとされ、ダーウインの海として知られている。その克服には、顧客要求を適切に把握して技術開発と商品仕様に反映し、継続的に市場製品投入をし続ける生き残りライフサイクルの構築が必要である。本研究ではその困難克服の手段として、顧客要求反映と社内コミュニケーション向上をめざしCS経営と日本経営品質賞(JQA)の考え方を導入した。さらに顧客要求をベースに複雑系技術の戦略策定と商品開発体系に対してスキームモデルに立ち戻る、新たな全社組織体制と3Sモデルを提案した。株式会社リコー内でそのイノベーション手法の提案モデルを適用して有効性を検証した結果、新規事業継続拡大に対する困難克服の有効性が示された。
著者
田中 裕子 久保 裕史
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2017 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.167-180, 2017 (Released:2017-05-12)
参考文献数
14

これまで、製造業を中心に業務自動化の取組みが広く進められてきたが、我が国の労働人口が 今後減少すると予測されているなか、ホワイトカラー業務の自動化、なかでも人工知能を活用し た業務の自動化が注目されている。一部の企業においては具体的な検討が進められているが、人 工知能を活用した業務自動化においては、従前の業務自動化とは異なる課題が存在すると考える。 そこで、本論文では、人工知能を活用した業務自動化において想定される課題をとそれに対する有効な方法を示すことを目的とし、過去の人材紹介サービス業における人工知能を活用した業務自動化プロジェクト事例を取り上げ、事例のプロジェクトにおいて発生した問題への対応方法として P2M 理論の適用が有効であることを示す。さらに、人材紹介サービス事業に限定しない一般的な人工知能を活用した業務自動化においてもその有効性を確認する。