著者
栗原 崇 伊藤 公紀 亀山 秀雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.61-72, 2012

世界の国々を取り巻く気候変動問題は、地球温暖化対策やカーボン市場などの環境ビジネスを牽引する西洋諸国が主導権を握る状況にある。背景にある「気候変動は人為的CO2排出が原因」という要因の単純化は、西洋メンタリティが関与していると考える。このような単純化は、非効率的かつ非効果的な対策に繋がり、社会のレジリエンスを低くする。本稿では、東洋的なリスクマネジメントを可能にするP2Mフレームワークの形成を目指して、西洋主導の気候政策にP2M手法を適用する。これにより、気候変動に対して高レジリエンスな社会の構築に資する。具体的には、方法論としてのアジア的アプローチに関する議論を通じて、西洋的及び東洋的アプローチの各利点を生かすことにより、気候変動政策に対する中庸的リスクマネジメントを従来のP2M線形モデルから導くための考察を行う。
著者
市川 学 石峯 康浩 近藤 祐史 出口 弘 金谷 泰宏
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.21-35, 2017 (Released:2017-10-30)
参考文献数
12
被引用文献数
2

地震に代表される自然災害の多いわが国では、災害発生時に被災地の医療を支援するため、避難者の健康を管理するために、DMAT・DPAT・DHEATなどに代表される保健医療支援活動従事者が、被災地において支援活動を行う。本研究では,発災直後から復興期にかけて保健医療支援活動従事者が、どのように組織され、どのような活動をどのように行なっているかを論じる。また、近年では、保健医療支援活動を支える情報技術も整備されつつあり、情報を利活用する災害時の保健医療支援活動についてマネジメントの視点を交えて説明する。
著者
小川 隆雄 栗原 崇 伊藤 公紀
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.45-55, 2014

第18回気候変動枠組条約締約国会議(COP18)は2012年末に開催され、2020年から新たな枠組みを開始することが合意された。次期枠組みでは途上国の参加が鍵となるが、途上国の削減行動の実効性を高めるために導入されたのがMRV(測定・報告・検証)制度である。MRV制度については2007年から検討されてきたが、具体的な実施方法は未定である。本稿では、MRV制度の検討にはP2M理論によるアプローチが適していると考え、3Sモデルを適用しMRV制度の実行スキームモデルの構築を行った。具体的には、民間主導により世界で広く実施され、MRV制度と共通の構造(PDCAサイクル)を持つISO認証制度を利用することで、途上国にも受け入れが容易でかつ実効性の高い国際枠組み(ISO-MRV)の構築を試みた。
著者
ザグダホロル ツェンベルドラム 平松 庸一
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.91-108, 2022 (Released:2022-03-26)
参考文献数
23

ネット社会は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現可能にし、モンゴルにおいてもITを中心にアントレプレナーシップ(Entrepreneurship)への関心が強まり、国家的な取り組みを進行させている。本研究は、高速に変化する不確実性の極めて高い状況の中に置かれるベンチャー企業が、環境変化に迅速に対応し市場で生き残るためには、どのようなマネジメントが要求されるのかを探求する。特に、アントレプレナーシップ研究で注目されているエフェクチュエーション概念を取り上げ、P2M理論への適用可能性を議論し、企業の成果と連結して研究することを課題にする。そのため、プログラムマネジメントとエフェクチュエーションの概念の親近性の検証、またモンゴルのベンチャー企業AND Global社の事業急拡大期における事業の統合マネジメントを3Sモデルとエフェクチュエーションを適用した事例分析を通じて探求する。分析の結果、当社が、P2Mのアプローチを適用していることと3Sモデルのスキームモデルの段階でエフェクチュエーションのアプローチを有効に活用していることが示唆された。また、プログラムマネジメントにエフェクチュエーション概念との親近性から、P2M理論のアントレプレナーシップ研究への適用可能性が示唆された。
著者
金子 浩明 久保 裕史
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.95-106, 2014 (Released:2017-06-02)
参考文献数
15
被引用文献数
9

ステージゲート法は80年代に北米で開発され、多くのハイテク製造業に普及した。日本では90年代後半から普及したが、導入する際は日米の事業環境の違いを考慮する必要がある。米国はベンチャーキャピタルの資金が豊富で大学発ベンチャーが多く存在し、種となる技術の候補が外に多く存在しているため、多産多死型の研究テーマ管理が可能である。一方、日本では内部で産まれた種を大事に育てる必要がある(少産少死型)。しかし、ステージゲート法は段階的にテーマに絞り込んでいくので、育てる工夫が欠けるとテーマが枯渇してしまう。本論では日本のブティック型の化学系企業を題材に、少産少死型の研究開発に適したステージゲート法を提案する。
著者
大島 丈史 内平 直志
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.121-141, 2018 (Released:2018-10-09)
参考文献数
17
被引用文献数
3

プロジェクトマネジャーに必要とされる知識には、形式知化が容易なものと難しいものがある。定量的管理プロセスに関する知識は比較的形式知化が容易であるが、リスクの特定や問題への対策検討などは経験や暗黙知の占める部分が多く、知識継承が難しい。近年のAI(人工知能)技術の進展に伴い、異常の予測等の暗黙知の領域についても、AI技術の活用によって補完する取組みが行われ始めている。本稿では、ソフトウェア開発におけるプロジェクトマネジメントの知識を、形式知化やシステム化の可否、AIによる代替または補完の可能性の有無によって分類するためのモデルを提案する。この知識分類モデルは、AI活用や知識継承の検討の枠組みとしての活用をねらいとしたものである。また、提案した知識分類モデルを元に、プロジェクトマネジメントへのAI活用の具体的な方策を検討する。
著者
清田 守
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.1-25, 2019 (Released:2019-03-23)
参考文献数
64
被引用文献数
1

近年イノベーション創出において、日本企業がGAFA各社など米国新興企業に後れを取っているとされる。新規事業やイノベーションにP2M手法を取り入れる際、21世紀の次世代型Next P2Mの多様性に対しどのように目標を設定し、運用するかが重要である。米国で成功している新興企業や著名な大学では、プロジェクト推進に、哲学、美術、歴史などのリベラルアーツ教育や知識を重要視していることが知られており、その発想や運用の点で日本企業が後れを取っている可能性がある。本研究では従来知られていなかったリベラルアーツとP2Mの関係を明確にした上で、リベラルアーツをとりいれる展開方法と体系を提案し、多様性のある次世代型Next P2M推進への指針を示す。
著者
加藤 美治 橋山 智訓 田野 俊一
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.61-84, 2023-03-25 (Released:2023-03-25)
参考文献数
67

超VUCAな時代において日本は、社会課題の解決や新規事業、新製品創出を目指すために、多くの人の考え方や異種分野の知識を連携する必要がある。これらP2Mにおける戦略型プログラムのミッション達成には、組織を超えて創造性や自発的な行動を促すP2Mのコミュニティが有効とされている。そしてP2Mのコミュニティを活性化させるためには、異種分野の参加者が時間・空間を超えて共通ミッションを達成するためのプラットフォームの構築が求められている。しかしP2MのコミュニティにおけるICTの利用は、コミュニケーションの支援に留まっている。本研究ではP2Mのコミュニティの価値基盤を起点とし各論文、書籍を調査し、Webで利用するプラットフォームの必要要件とそれを実施する方法を明らかにした。異種分野の参加者のモチベーション向上、議論の可視化、人や情報のマッチングを行う新たな手法の開発が重要な要件となる。これら必要要件からP2Mにおける実践コミュニティを支援するWebプラットフォームの詳細機能を考察した。さらにWebプラットフォームのユーザーインターフェースを提案した。機能については評価用システムで先行評価を実施し有効であることを確認した。
著者
岡崎 昭仁
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.113-127, 2013-02-25 (Released:2017-05-25)
被引用文献数
2

学生フォーミュ教育プログラム(1)は,学生達にものづくりの総合力を養うべく設立された米国発祥の教育プログラムである.フォーミュラ車両を開発し,コスト・事業プレゼン・設計審査に加えて,走りの総合性能を競う実践的なものであり,企業活動の実践そのものである.これまで,マシンの製作に関する技術面での報告例(2-4)はあるが,運営面にフォーカスした研究事例は少ない.筆者は,この活動をプログラムと捉えて,新たに立ち上げたチームにP2Mを適用して,3Sモデルを活用することで,大会初出場ながら全競技種目を完走させて自動車開発実践を通して実践知教育の場を創成することができた.このプログラム実践事例について報告する.
著者
新田 佳菜 森 俊樹
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.109-127, 2022 (Released:2022-03-26)
参考文献数
22

P2Mプログラムマネジメントでは、同時並行的に進行する多数のプロジェクトを管理する必要がある。しかし、従来の人手に頼ったマネジメント手法だけでは、全てのプロジェクトに十分に目が行き届かないという課題があった。そこで、機械学習を用いたプロジェクト異常予測をプログラムマネジメントに適用し、重大なプロジェクトリスクを自動で検知することを試みている。システム開発プロジェクトを対象とした試行により、精度面では実運用可能なレベルになったことを確認したが、その一方で、高リスクプロジェクトを検知するだけでは、プログラムに影響を及ぼすリスクとして適切に判断し、対応することができないという課題も明らかになった。本研究は、プログラムマネジャーがリスクを検知し対処するまでの意思決定の支援を目指し、システム開発プロジェクトの失敗の予兆となるリスク事象を体系的に抽出し、実事例と比較してその妥当性を確認した。
著者
田隈 広紀
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.141-152, 2022-10-23 (Released:2022-10-23)
参考文献数
27

本研究では社会科学系の初年次学生における起業への意識傾向を、事業構想・実装・運営を司る人材に必須の素養である主体性の構成要素と関連させながら調査した。その結果、主体性の構成要素のうち「想像力」が「起業意欲」と強く関連しており、「自覚」と「自由意志」が「起業意欲」と「失敗への危惧」の両方に緩く関連していることが判った。これらを踏まえ、P2M理論を適用した社会的・公益的事業のケーススタディによる起業家精神の解説、ロジックモデルとSWOT分析を併用したキャリアプランニングの演習、卒業生の実践者からのゲストスピーチによる創業マネジメントの解説を教育方略として提言した。今後は起業に至り長期構想を実現させた人材を追跡調査し、修学意識・過程と育成方法を精緻化する予定である。
著者
細川 元 赤澤 智津子 西田 絢子
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.107-120, 2021 (Released:2021-10-29)
参考文献数
14

大学の教育現場では広くPBLが実施されている。本論文では、大学生が小学生向けの学習イベントを企画・運営するPBLを研究対象とし、グループとしてデザインプロセスの理解と着実な実行を行えるようにするための要件を明らかにすることを研究目的としている。ルーブリックによる評価活動をデザイン教育の一環として実施されるPBLに組み込み、達成度合いの計測を行った。その結果、複数のプロジェクトにおいて達成度合いに差異が見られた。この実践事例からP2Mの観点でプロジェクトチームのデザインプロセス実行に影響する要素を明らかにし、デザイン教育における効果的なPBL実施の要件を明らかにした。
著者
亀山 秀雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.193-204, 2015 (Released:2017-06-02)
参考文献数
3
被引用文献数
1

第4期科学技術計画では、科学技術イノベーション政策のあり方として「課題達成型」が掲げられた。一方、「実現」を強く意識したために、「発見」を中心にした基礎研究が軽視された傾向がある。そこで、 第5期科学技術計画の策定にあたっては、「課題達成型」を包含しつつ、基礎研究から応用研究までを含むあらゆる段階の研究において、わが国の持続的成長に貢献する新しいコンセプトの検討が進められている。 その一つとして、科学技術イノベーションによって、次世代の基幹となる事業を育成し未来を創るという「未来創造型」を取り入れることがあげられている。本研究は、このような科学研究の成果をイノベーションに活用して市場で価値を獲得するために必要な価値創造プロセスを提案した。それは、「価値の発見」と「価値の実現」と「価値獲得」を相互に連携して逐次的に行うプロセスである。その価値創造プロセスを3Sモデルデで説明し、スキームモデルが「科学的・技術的価値の発見」と「社会的・経済的価値の発見」であり、システムモデルが「社会的・経済的価値の実現」、サービスモデルが「社会的・経済的価値の市場での獲得」に適合することを、事例を挙げて示した。
著者
加藤 智之 越島 一郎 梅田 富雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.107-120, 2018 (Released:2018-10-09)
参考文献数
18
被引用文献数
2

近年、IoTやIndustry 4.0などのデジタル技術を基盤とした新しい価値創出のための概念が注目されており、実際に全く新しいビジネスが展開されている。これらは、デジタル革命と言われているように従来型の経営からデジタル技術を生かした経営変革に向うデジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ばれ、世界的なトレンドとなっている。日本の製造業においても、これらのDXを実現しようとしているが、既存のビジネスモデルやビジネスプロセスをデジタル技術が活きるように変容することができず、対応が遅れているのが現実である。そこで、本論では日本企業の強みを活かしながらもDXに対応できるような組織体について議論し、日本的なDXのための経営手法としてP2Mが有効であると考え、関連する事例とともに関連事項について説明する。
著者
荒井 祐介 木嶋 恭一 出口 弘
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-13, 2012-09-15 (Released:2017-05-25)
被引用文献数
10

今日の地域開発政策は、各地域の地域資源を活用した自律的活性化を基本とする。地方都市は、地域外から工場等を誘致する外来型開発だけでなく、多様なステークホルダーを関与させつつ、地域資源を活用した地域経済活性化による内発的発展を目指すことも強く求められている。こうした地域資源を活用した地域の自律的活性化という課題は、P2Mのプログラムとして理解できる。本報告では、地域資源を活用した地域の自律的活性化事業を、プログラムマネジメントの一方の柱であるコミュニティマネジメントの面から検討し、「価値協奏プラットフォーム戦略」を提案する。そして価値協奏プラットフォーム戦略を適用した地域活性化のコミュニティマネジメントの事例も紹介する。
著者
藤井 誠一
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.141-151, 2012-02-25 (Released:2017-05-25)

新製品開発プロジェクトにおけるプロダクト・チャンピオンの研究は,米国,独国,韓国では進んでおり,国による比較も行われているが,日本での研究は皆無に等しい.プロダクト・チャンピオンは,プロジェクト・マネジャーと並び,新製品開発を成功に導く重要なキーマンとして取り上げられており,日本企業においてその存在を確認することは,非常に意義深いと考えられる.そこで,先行研究をレビューしてプロジェクト・マネジャーとプロダクト・チャンピオンの関係性を整理した上で,公開情報により探索的調査研究を行った.その結果,日本企業におけるプロダクト・チャンピオンの存在を確認することができたと同時に,その活動,人物像,シニアマネジメントの位置づけ,に代表されるこの分野の研究の端緒となる結果が得られた.
著者
田中 裕子 久保 裕史
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.160-172, 2018

我が国では、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、働き方の多様化などの状況に直面し、生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を発揮できる環境作りといった「働き方改革」が進められている。そのような中、人材流動化を実現する人材紹介業の役割はますます重要になると考える。しかし、人材紹介業においては、十分な経験とスキルを有する専門家が少なく、人材育成を急速に進めたとしても不足分を補えない状況であると認識している。そこで、本論文では、人材紹介業における専門家不足の状況に対して人工知能技術を適用した事例を用い、その取組みにおけるP2M理論の有効性を示すととともに、P2M理論にもとづきノウハウ共有における人工知能技術の有効性について論じる。
著者
小原 重信
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.1-20, 2013

経済逆境の中でも多数の独創企業が高業績を誇る。その共通属性を探ると持続的努力による次世代ビジネスモデルが浮上し、その実績は進化形跡により追証される。本論では主に綜合商社の歴史的モデルを調査し、モデルリニューアルにP2M視点を適用して、その価値創造機構と要素を分析する。その結果、13のクロスインテグレーション重要要素が、組織全体の設計、行動、効果に検出された。特にその相乗効果は、事業創造、組織活性化、財務指標に及び業績向上に対する教示が大きい。
著者
加藤 哲夫
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.129-144, 2018 (Released:2018-03-06)
参考文献数
28
被引用文献数
3

2000年頃まで先進国では、「基本技術開発→応用開発→製品化のシーケンシャルな開発スタイル」をとってきた。しかし、多くのモノ造り技術が海外に行き渡り、「水平分散型」を推進する新興国と比べ先進国の価格競争力は弱くなった。これにより、先進国のモノ造りは利用シーンを想定して本来の機能と使いやすさを追求し、これを具現化するデザイン・設計した上で、商品、サービスを実現するに必要な技術やデバイスを集約する開発スタイルに変化した。「ありたい姿の想定→具体的商品の機能デザイン定義→実現に必要な技術集約統合というスタイル」が2010年以降、徐々に広まってきた。 本論文では、第4次産業革命の波に乗って、どのようなイノベーションが起こるのか想起することにより、3つのイノベーション・レイヤーとして①Process Innovation、②Product Innovation、③Social Innovation という分類を新たに提案し、いくつかの事例で示した。 提案した3つのイノベーションを推進・実現化するためには、P2M理論の更なる発展と研究が重要な役割を果たすとことと確信する。
著者
清田 守 久保 裕史
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌 (ISSN:24320374)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.159-177, 2018 (Released:2018-03-06)
参考文献数
23

製造業では新製品を利益のある産業に育てる事が困難であるとされ、ダーウインの海として知られている。その克服には、顧客要求を適切に把握して技術開発と商品仕様に反映し、継続的に市場製品投入をし続ける生き残りライフサイクルの構築が必要である。本研究ではその困難克服の手段として、顧客要求反映と社内コミュニケーション向上をめざしCS経営と日本経営品質賞(JQA)の考え方を導入した。さらに顧客要求をベースに複雑系技術の戦略策定と商品開発体系に対してスキームモデルに立ち戻る、新たな全社組織体制と3Sモデルを提案した。株式会社リコー内でそのイノベーション手法の提案モデルを適用して有効性を検証した結果、新規事業継続拡大に対する困難克服の有効性が示された。