- 著者
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赤尾 勝一郎
久保田 収治
林田 至人
- 出版者
- 園藝學會
- 雑誌
- 園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.1, pp.31-38, 1978
- 被引用文献数
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春季新生器官の形成に果す樹体内貯蔵窒素としての秋肥施用窒素の役割を明らかにするために, ポット植11年生結実樹2本を供試し, 1974年11月18日もしくは1975年3月1日に <sup>15</sup>N (10atom%) 標識の硝酸カルシウに (Nとして11.4g) を施用したのち, 春葉の展葉のほぼ完了した6月中旬まで樹体内における標識窒素の追跡を行ない, 次のような結果を得た.<br>1. 収穫前21日に与えた秋肥窒素の収穫時の結果枝葉, 未結果枝葉, 果皮あるいは果肉中の全窒素に占める割合は 11.5%, 11.3%, 2.6%, 3.3% であり, 果実に流入する秋肥窒素の量は葉に比べて, かなり低いといえた.<br>2. 掘り上げ解体時までの施用窒素の吸収率は秋肥41.4%, 春肥 25.1% であった.<br>3. 掘り上げ解体時における <sup>15</sup>N 寄与率から春季新生器官に含まれる全窒素量のうち, 約 28% は秋肥窒素に由来し, 約 17% は春肥窒素に由来したものであることが明らかとなった.<br>4. 春季新生器官の形成に供せられた窒素のうち, 約30% は冬期間1年葉に貯えられていたものと推定された.<br>5. 2月26日から5月15日までの間, 1年葉中の全窒素含有率はほとんど変化しないのに対して, <sup>15</sup>N 濃度は確実に上昇しており, このことは冬期間, 1年葉以外の器官に貯えられていた窒素が春季に1年葉を経由して転流したためと理解され, その量は春季新生器官中に含まれる全窒素量の約 25% に相当した.