著者
松浦 弘幸 根本 哲也 久保田 怜
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.89-96, 2012-05-30 (Released:2017-09-02)
参考文献数
9

神経軸索で興奮伝導や量子干渉を伝える媒体として,準粒子・ポラリトンの存在を考えた.ポラリトンは神経軸索膜で活動電位に伴って発生する分極が量子的波動として,軸索上や軸索間に伝搬して行く状態を分極ベクトルの回転として量子モデル化したものである.量子的分極波がエファプスやシナプス干渉,興奮の伝導の媒介等,ミクロな視点からの神経電気現象を担い,この分極ベクトルの変動の伝播・ポラリトンが神経的電磁気現象を伝える情報担体である.準粒子としてのポラリトン質量は約10^<-25>Kg,スピン1の質量を持つ光子として表現される.裸のポラリトンの質量は,電子質量の1〜10倍程度(6.7×10^<-30>Kg)である.通常は,熱ノイズの擾乱に耐えるために,水和した状態で存在する.高々,10個程度の水分子が,裸のポラリトンに引き寄せられて準粒子を形成する.神経伝導のポラリトンが持つ基底状態の波長は1μmを中心に10μ〜0.6μmに存在する.ポラリトンは,シュレディンガー方程式やクライン・ゴルドン方程式に従う.Na+,K+の膜の内外への流入・流出が伝導原因のカレントを形成し,その効果を軸索方向や軸索外に伝搬するのが,媒介粒子ポラリトンの役割である.
著者
松浦 弘幸 伊藤 安海 根本 哲也 西井 匠 久保田 怜 中野 正博 玉川 雅章
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.53-62, 2011-10-20 (Released:2017-09-04)
参考文献数
9

人が日常的にロボットと共存する場面では,ロボットとの不用意な接触が原因とする力学的人体損傷が発生する.人に加えられる撃力のエネルギーは同じでも,人の部位により重篤となる撃力波形が異なり事から,身体部位ごとに損傷評価基準が異なる.我々は損傷評価モデルとして,人の転倒機序の分析モデルを提案した.人の転倒過程は(回転+自由落下運動)と仮定して,頭部,胸部,腹部,そして大腿部の損傷程度を見積もった.転倒モデルによる致命傷は,頭部骨折,胸部骨折,そして,腹腔内実質臓器の裂傷であり,その後の予後を大きく左右する.特に,頭部の損傷を評価する指標のHICは重要な概念であるが,他の部位には他の指標を用いた.さらに,撃力の吸収には,伸筋と屈筋が交互に振動をするように収縮・弛緩を繰り返し,あたかも,一個の粘弾性体の如く運動を行う.
著者
松浦 弘幸 根本 哲也 久保田 怜
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.71-76, 2012-05-30 (Released:2017-09-02)
参考文献数
9

我々は,従来から有名な情報理論のベイズ定理を量子力学的方法を用いて書き換えた.それには,古典的な確率定理を全て確率演算子,確率振幅,そして,演算子に読み替える必要があった.古典的(従来のベイズ定理)と量子力学形式の最大の相違は,干渉項の有無である.量子力学的な表現では,初期状態ベクトルがたとえ純状態であっても,終状態では混合することを要求する.これは,純状態の重ね合わせの原理に相当する.ニューラルネットでは,この量子混合状態は,エファプスのような軸索間の干渉,また,神経終板,シナプス等が想定されている.神経の結合様式では,図式的には収束型であるが,数学的方法としては発散タイプの推計を行う事になる.結合部では多くの情報が混合するが,この中でも幾らかは以前の情報を保持している.この情報の拾い出しが量子力学の期待値を取ることに相当する.
著者
松浦 弘幸 久保田 怜 根本 哲也
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.77-82, 2012-05-30

我々は,収束点としての終状態ベクトルが多数存在する場合の量子ベイズ形式を考えた.各々の神経細胞からの雑音は,エファプスやシナプス間干渉を通して,通常の軸索伝導を修飾する.また,雑音が軸索伝導に対して,正しい情報伝達の強化(正しく伝達),または,弱化(誤りを起こす方向に作用)として作用する場合や,また,通信経路の途中で誤りを犯すタイプも考慮した量子ベイズを与えた.通信経路での誤りの有無に拘わらず,伝播演算子の定義法の軽度な変更のみで,量子ベイズ形式は同じ表現形式となった.古典的ベイズと量子ベイズ形式の相違は,干渉項の有無である.さらに,軸索間干渉であるエファプスを含めた相互作用の連関図は,終状態ベクトル|A_j^B>に収束する量子アアミダクジと形式的にも計算法も似てくる事が判明した.
著者
松浦 弘幸 久保田 怜 根本 哲也
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.83-87, 2012-05-30

ポラリトンが近似的にはシュレディンガー方程式に従う.我々は状態ベクトルを用いて量子ネットワーク系を組み立て,複雑な系の特性を解析する有力な手段の一つとして摂動法を提案した.さらに,ポラリトンの量子力学的方程式を基礎として,古典的ニューラルネット理論を量子神経回路に書き換えを行った.元来,量子力学の基礎となる"重ね合わせの原理は,古典的ニューロネット理論と類似点も多く,両者の間に対応関係が成立する.しかし,量子神経回路理論の入出力は複素数であるが,他方,古典論の入出力は実数であり,このために神経細胞間での量子干渉効果は存在しない.ポラリトンを用いた量子ベイズ形式の表現を与えた後,第1層,第2層の状態ベクトルと伝播確率振幅の規則を定義した.この一連の規定により,多段的な量子神経回路や多様な形態の回路網への適応が可能となった.
著者
松浦 弘幸 根本 哲也 久保田 怜
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.89-96, 2012-05-30
参考文献数
9

神経軸索で興奮伝導や量子干渉を伝える媒体として,準粒子・ポラリトンの存在を考えた.ポラリトンは神経軸索膜で活動電位に伴って発生する分極が量子的波動として,軸索上や軸索間に伝搬して行く状態を分極ベクトルの回転として量子モデル化したものである.量子的分極波がエファプスやシナプス干渉,興奮の伝導の媒介等,ミクロな視点からの神経電気現象を担い,この分極ベクトルの変動の伝播・ポラリトンが神経的電磁気現象を伝える情報担体である.準粒子としてのポラリトン質量は約10^<-25>Kg,スピン1の質量を持つ光子として表現される.裸のポラリトンの質量は,電子質量の1〜10倍程度(6.7×10^<-30>Kg)である.通常は,熱ノイズの擾乱に耐えるために,水和した状態で存在する.高々,10個程度の水分子が,裸のポラリトンに引き寄せられて準粒子を形成する.神経伝導のポラリトンが持つ基底状態の波長は1μmを中心に10μ〜0.6μmに存在する.ポラリトンは,シュレディンガー方程式やクライン・ゴルドン方程式に従う.Na+,K+の膜の内外への流入・流出が伝導原因のカレントを形成し,その効果を軸索方向や軸索外に伝搬するのが,媒介粒子ポラリトンの役割である.