著者
井上 知美 八重樫 柊穂 久川 隆造 石渡 俊二 野々木 宏 小竹 武
出版者
Japan Disaster Medicine Education and Training association
雑誌
Journal of Clinical Simulation Research (ISSN:2433054X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.19-24, 2017 (Released:2022-11-18)
参考文献数
7

1人1体のマネキンを使用した「アメリカ心臓協会(AHA)ファミリー&フレンズコース」を実施し,心肺蘇生(CPR)手技測定システムにより胸骨圧迫手技を評価した。胸骨圧迫について実習後有意に手技が向上した(平均深さ 前:43.22±10.8mm,後:50.5±7.2 mm,p<0.05)。実習前後ともに,「適切な手の位置」および「完全な圧迫解除」の実施率は,女性において有意に実施率が高かった(p<O.05)。「適切な深さ」での実施率,胸骨圧迫の平均深さおよび平均テンポについては実習前後ともに男性の実施率が高く,深さ,テンポについても女性より有意に深く,早いことが認められた(p<O.05)。胸骨圧迫の平均テンポと平均深さを3群に分類した割合を検討した結果,実習前の女性についてのみ有意差が認められ(p<O.05),胸骨圧迫のテンポが早い群が,深さが深い傾向となった。実習実施により手技の向上が示されたが,胸骨圧迫において平均深さが50mm未満である女性が57.1%認められたことから,体力的な要因も考慮した圧迫手技の習得可能な実習内容の検討が必要と考えられた。今後,ガイドラインの変更点を強調した実習内容での手技の習得の検討をするとともに,手技の評価検証方法や,手技の維持について再トレーニングの時期の検証をする必要があると考える。