著者
西川 豪 野々木 宏 森 典子 松尾 陽子 清水 史郎 小田 敏子 土井 修 神原 啓文
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.88-95, 2012

ワイヤレス12誘導心電図伝送「富士山(ふじやま)」を開発し,プレホスピタルから専門病院への伝送の有用性を検討するため実証実験を行った.<BR>方法:小型心電計からBluetooth方式でスマートフォンへ心電図データを送信,画像ファイルを伝送するシステムを用い心電図を走行車両から伝送,さらに各種施設から病院専門医へ伝送し,伝送前後の比較を行った.<BR>結果:伝送前後の心電図は変化なく,伝送時間も7~95秒(中央値23秒)で遅延はなかった.院外伝送24例では家電からのノイズ1例以外は質の高い伝送が得られた.ワイヤレス12誘導心電図は小型,軽量で様々な医療現場での活用が期待される.
著者
野々木 宏 安田 康晴 今井 寛 太田 祥一 小澤 和弘 木下 順弘 小林 誠人 高階 謙一郎 森村 尚登 山野上 敬夫 山村 仁 脇田 佳典 横田 順一朗
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.800-805, 2019-08-15 (Released:2020-10-26)
参考文献数
15

ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)の発症から再灌流療法までの時間を短縮するためには,病院前12誘導心電図記録の病院への事前伝達が有効であり,ガイドライン勧告がなされている.ガイドライン勧告の実践がなされているか救急隊による12誘導心電図記録と伝送の実態を把握するため,全国地域メディカルコントロール(MC)協議会251団体へのアンケート調査を実施した.回答率は96%で救急隊による12誘導心電計を搭載しているのは82%と高率であったが,全車両に搭載しているのは28%と低率であった.12誘導心電計を搭載している196団体のうち,電話による病院への事前伝達を行っているのは88%と高率であったが,伝送しているのは27%と低率であった.本アンケート結果から,ガイドライン勧告の実践を実現するためには,12誘導心電計の搭載とともに,地域MC協議会を中心とした救急隊と病院群との連携,プロトコル作成や心電図検証が必要であり,それには救急医とともに循環器医の地域MC協議会への関与が必要であると考えられる.
著者
井上 知美 八重樫 柊穂 久川 隆造 石渡 俊二 野々木 宏 小竹 武
出版者
Japan Disaster Medicine Education and Training association
雑誌
Journal of Clinical Simulation Research (ISSN:2433054X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.19-24, 2017 (Released:2022-11-18)
参考文献数
7

1人1体のマネキンを使用した「アメリカ心臓協会(AHA)ファミリー&フレンズコース」を実施し,心肺蘇生(CPR)手技測定システムにより胸骨圧迫手技を評価した。胸骨圧迫について実習後有意に手技が向上した(平均深さ 前:43.22±10.8mm,後:50.5±7.2 mm,p<0.05)。実習前後ともに,「適切な手の位置」および「完全な圧迫解除」の実施率は,女性において有意に実施率が高かった(p<O.05)。「適切な深さ」での実施率,胸骨圧迫の平均深さおよび平均テンポについては実習前後ともに男性の実施率が高く,深さ,テンポについても女性より有意に深く,早いことが認められた(p<O.05)。胸骨圧迫の平均テンポと平均深さを3群に分類した割合を検討した結果,実習前の女性についてのみ有意差が認められ(p<O.05),胸骨圧迫のテンポが早い群が,深さが深い傾向となった。実習実施により手技の向上が示されたが,胸骨圧迫において平均深さが50mm未満である女性が57.1%認められたことから,体力的な要因も考慮した圧迫手技の習得可能な実習内容の検討が必要と考えられた。今後,ガイドラインの変更点を強調した実習内容での手技の習得の検討をするとともに,手技の評価検証方法や,手技の維持について再トレーニングの時期の検証をする必要があると考える。
著者
野々木 宏
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.119, no.9, pp.1187-1193, 2016

<p> 米国と欧州ガイドラインとともに JRC 蘇生ガイドライン2015が同時発表された. この診療ガイドラインの特徴は, 万国共通の国際的な科学的コンセンサスをもとに加盟国がそれぞれの医療事情に応じたガイドラインを作成していることであり, 他の診療ガイドラインには類を見ないものである. 最も注目される変更点はエビデンスの質を評価するための透明性の高い GRADE システムを採用したことである.<br> 蘇生方法の今回のポイントは, 病院内外での心停止の予防をさらに強調していること, 市民による心肺蘇生の実施率を上げるため心停止かどうかの判断に自信が持てなくても心肺蘇生と自動体外式除細動器 (AED) の使用を開始することを強調し, それには119番通報時の通信指令台による口頭指導が役立つことを示した. また, 胸骨圧迫と AED の使用法に内容をしぼった短時間の講習や, 学校教育の重要性を示し, 医療機関で行われる体温管理療法や脳機能モニタリングなど, 心拍再開後の集中治療の重要性を強調した. さらには市民の救命処置への参加をさらに促すために, 倫理的・法的課題についても言及した.<br> 本ガイドラインを普及啓発することで心停止の予防や救命率向上がはかられ, さらにわが国からのエビデンスの発信が期待される.</p>
著者
山下 大輔 和田 恭一 吉牟田 剛 森 英人 中蔵 伊知郎 堀部 明美 岡田 博 佐田 誠 岡島 年也 塘 義明 野々木 宏 小原 延章
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.323-327, 2010 (Released:2012-03-09)
参考文献数
13
被引用文献数
1

The purposes of this study were to demonstrate how the interaction between rifampicin and voriconazole can be managed clinically and to characterize the changes in voriconazole concentration levels after discontinuation of rifampicin.The concomitant administration of voriconazole and rifampicin is contraindicated because the interaction between these drugs results in a subtherapeutic concentration of voriconazole.In this regard,voriconazole is known to be metabolized by CYP2C19,2C9,3A4,and rifampicin is a potent inducer of CYP3A4.The interaction between rifampicin and voriconazole was investigated in a 70 year old male patient with severe infection in a prosthetic graft,necessitating simultaneous treatment with vancomycin and rifampicin.Rifampicin therapy was discontinued to start antifungal treatment with voriconazole.Interaction between the 2 drugs was evaluated by measuring voriconazole trough levels 4,7,11,18,and 29 days after starting therapy with it,performing the assays by high-performance liquid chromatography.Four days after starting voriconazole,we observed a significant decrease in its serum concentration,to 0.24μg/mL.After 7 days,it had increased to 0.84μg/mL and to 1.24μg/mL after 11 days,and thereafter,continued to gradually increase.Thus,after discontinuing rifampicin,CYP induction continued to be strong for the first 11 days and then became more moderate over the course of a month.In conclusion,it is essential that patients being treated with both rifampicin and voriconazole have their voriconazole concentrations monitored when rifampicin therapy is discontinued.