著者
久米 洋輝
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2019-03-25

本論文では、麻雀プレイヤの実力を少ない行動記録から推定した研究について述べる.麻雀プレイヤの実力は平均順位やレート値から推定されるが,おおまかな推定をするにも多くの時間がかかる.例えば±0.1位程度の精度で平均順位を推定しようとすると約500戦必要であり,これは通常250時間以上かかる. 本研究ではより少ない対戦数nで麻雀プレイヤの実力をすることを目指して,次のような2つの実験を行った. 1つ目は,十分に強い人工知能プレイヤ(AIプレイヤ)を用いてエラーレートを計算することでプレイヤの実力を推定する実験である.エラーレートとはバックギャモンで一般的に用いられるプレイヤの実力指標であり,これはAIプレイヤが推定する1行動あたりの価値の減少平均値から見積もられる.エラーレートと平均順位の推定性能を比較した.性能の評価は,人々の実力指標として広く用いられている天鳳の平均レート値との相関係数,決定係数により行った.実験の結果,16戦でのエラーレートと500戦での平均順位は同等かそれ以上の推定性能を持つことが明らかとなった. 2つ目は,ニューラルネットワークを用いてプレイヤの実力推定を試みる実験である.本実験では1つ目の実験よりさらに少ない行動記録からプレイヤの実力を推定できないか試みた.1戦分の行動記録から抽出したいくつかの特徴を用いてプレイヤの実力推定を行った.実力推定に用いる特徴は,行動記録を数値化したものから自己符号化器を用いて抽出した特徴と1戦分の行動記録から得られたエラーレートの2つからなる.推定目標には,その行動記録時点でのプレイヤのレート値を用いた.実験の結果,構築したどのネットワークも目標値のほとんど平均値を出力するような推定をするものと同等であり,プレイヤの実力を推定することはできなかった.
著者
久米 洋輝 栗田 萌 保木 邦仁
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.14, pp.1-7, 2019-03-01

本研究の目的は、麻雀プレイヤの実力を少ない行動記録から推定することである.実力の推定は、麻雀人工知能(AIプレイヤ)を用いてエラーレートを評価することによりなされる.エラーレートとはバックギャモンで用いられるプレイヤの実力の指標であり,これは1行動あたりの推定価値(得点期待値)の減少平均値から見積もられる.現状,麻雀プレイヤの実力は平均順位やレート値から推定される.本研究では,エラーレートと平均順位の平均レート推定性能を比較した.その結果,おおよそ16試合の行動記録から評価したエラーレートと500試合の平均順位が同程度の推定性能である可能性が示された.