著者
白石 さやか 渡邉 泉 久野 勝治
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.829-837, 2002
被引用文献数
5 6

東京都内の主要道路から, 道路粉塵, 街路土壌および街路樹の葉を採取し, Mn, Fe, Cu, Zn, Cd, Pt, Pb濃度を測定した。交通量が最大であった環状七号線の道路粉塵は, 高濃度のCu, Zn, Pt, Pbが検出され, 自動車走行の影響が推察された。<BR>街路樹葉の重金属濃度はいずれも, 非道路脇で採取された試料の約1~4倍であった。樹種による濃度差が顕著であり, オオムラサキで最高, イチョウで最低となった。重金属類は葉内あるいは葉表面に蓄積され易く, 樹種による濃度差は, 植栽の高さや葉の性状の違いに起因することが考えられた。街路樹種の選定に金属捕捉の視点を加味することは, 効果的な道路周辺環境の改善に活用できよう。
著者
浦口 晋平 渡邉 泉 久野 勝治 星野 義延 藤井 義晴
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.117-129, 2003-10-10
被引用文献数
3 11

外来種の侵入,河原固有の在来種の衰退が顕著な多摩川中流域の河川敷から,56種の葉部を採取し,サンドイッチ法により他感作用活性を検定した。ハリエンジュ,アレチウリ,オオブタクサのように大きな群落を形成する外来種や,クズ,ススキ,イヌコリヤナギなど安定的な植生を形成する在来植物がレタスの幼根伸長を強く阻害した。また,絶滅が危惧されるカワラノギクとその周辺に多く生育する植物10種を砂耕栽培し,サンドイッチ法,プラントボックス法により他感作用活性を検定した。オニウシノケグサなどカワラノギク周辺の外来種は葉部,根部ともにレタスの幼根伸長を著しく阻害し,強い他感作用活性が示唆された。これらの結果は,多くの外来種の侵入と優占に他感作用が関与している可能性を示唆した。また,カワラノギクの葉部,根部にも強い他感作用活性が示唆され,成立から10年ほどで衰退・消失するというカワラノギク個体群の特性の原因として,他感作用の自家中毒的作用の関与が示唆された。カワラヨモギなど,他の河原固有種は強い活性を示さなかった。また,河川敷植生構成種の他感作用は,生育段階および,環境条件により変動する可能性が推察された。