著者
吉田 忠義 乾 迪雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.1327-1332, 1980-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

くも膜下出血(SAH)に心室細動の合併した例を報告した.患者は51才の女性で, 1978年2月6日激しい頭痛,悪心,嘔吐とおよそ1分間の意識消失があり,某院に入院した.腰椎穿刺の結果SAHが疑われた.入院8日目に痙〓を伴う意識消失発作が出現し,その後1日3~4回同様の発作が続いたため,当科に転院した.意識は清明,軽度の項部硬直(+).腱反射に異常なく,病的反射も認めなかつた.運動麻痺や知覚障害もなかつた.軽度のうつ血乳頭を認めた.髄液は黄色調であつた.心電図は著明なQTc延長と巨大陰性T波を示した. CT scanは側脳室の軽度拡大を示した. four vessel studyで,右内頚動脈-後交通動脈の分岐部に嚢状動脈瘤と右内頚動脈終末部から中大脳動脈の3分岐部までに亘り,著明な動脈痙〓を認めた. 2月18日痙〓を伴う意識消失発作が起こつた.心電図は心室細動を示した.直ちに心マッサージ,酸素吸入,直流除細動, lidocaine, phenytoin, diazepamが投与され,心室細動は治療された. 4月5日脳外科で動脈瘤に対しclippingが行なわれた.術後経過よく, 5月13日に退院した. 5月12日の心電図ではまだQTの延長があつた. SAHの死因として,直接の脳病変によるものだけでなく,本例の如く同時に併発した心室細動による場合も示唆された.心電図上QTの延長している場合,心室細動が併発し易くなることを文献的に考案し, lidocaineなどの抗不整脈薬の使用が有用であると論じた.
著者
村田 和彦 吉田 忠義 鈴木 忠 河合 恭広 金沢 紀雄 高瀬 真一 佐々木 豊志 塩原 雄二郎 乾 迪雄 土屋 純
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.317-322, 1980-12-20 (Released:2009-11-11)
参考文献数
17

電気的交互脈は比較的まれな心電図異常であり, その正確な頻度は不明であるが, 心電図検査10,000回におよそ5回程度みられるものであるといわれている.本所見は通例心異常のあるものに認められ, その出現はしばしば心膜液貯留の診断の手がかりとなるが, きわめてまれながら, 他に心異常のない症例に電気的交互脈の出現をみたとの記載もある.以下, われわれが最近約15年間に経験した6症例を報告する.