著者
大坪 正和 倉重 賢治 亀山 嘉正
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.231-242, 2006-08-15
被引用文献数
2

本研究では,中学校を対象とした時間割編成問題に取組んだ.この問題は複雑な制約条件を有しており,依然手作業に頼る場合が多く,その作成は非常に困難である.実際,クラス数24のある中学校では,4,5人の教師が1週間程度の時間を費やして作成しており,これらの教師には大きな負担を与えている.この時間割編成問題に対して,タブーサーチを用いた三つの解法を適用した.解法Iは,すべての科目を割り当てた初期解から,制約条件をすべて満たした実行可能解を求める基本的な方法である.一方,解法IIは,制約の強さにより対象科目を三つのグループに分類し,制約が強いグループから順に割り当てを行う方法である.まず,最初のグループの科目からなる部分解を作成するために,これらの科目のみを割り当てた初期解を生成し,制約違反がなくなるまでタブーサーチを適用する.続いて,この部分解に,次のグループの科目を加えて,新たな制約違反がなくなるまで再度タブーサーチを適用する.これらのプロセスを最終グループの科目を割り当てた実行可能解が得られるまで繰り返す.解法IIIは,解法IIで分類した最後のグループに属する科目を,さらに,学年ごとに細分化し,合計5グループに分けてから順に割り当てを行う方法である.実問題を解くことによって,解法IIの有効性を明らかにした.続いて,実行可能解の取得にかかる計算時間には,近傍解の探索クラス数や制約条件の重み付けが大きく影響することも示した.さらに,実行可能解の分布状況に関しても言及した.
著者
辻 明日夏 倉重 賢治 亀山 嘉正
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.337-346, 2008-06-15 (Released:2008-11-04)
参考文献数
19
被引用文献数
3 3

本研究では,いくつかの料理を組み合わせることでメニューの作成を行う.この組み合わせにより,栄養のバランスや料理同士の相性,各カテゴリーでの品数などを考慮する.バランスの取れた料理を作成するためには,エネルギーと脂肪,炭水化物,たんぱく質,食物繊維,塩分などの摂取量を考慮する必要がある.各栄養素に対する必要摂取量は,個人によって異なっており,料理を組み合わせることによって,その値を完全に一致させることは困難である.通常,これらの量は,完全に一致させる必要はなく,ある程度の範囲内で収めれば良いと考えられている.そこで,各栄養素に対する必要摂取量をファジィ数で表現し,それぞれの栄養素に適したメンバシップ関数を作成する.バランスの取れたメニューを作成するためには,最も低いメンバシップ関数値の最大化を目指す.その他,料理の相性や料理数は,通常の制約条件として取り扱うこととした.この問題は,ファジィ数理計画問題として定式化され,180皿の料理による数値計算例によって,その有効性を明らかにした.