著者
亀田 啓悟
出版者
関西学院大学
雑誌
総合政策研究 (ISSN:1341996X)
巻号頁・発行日
no.28, pp.109-120, 2008-03

The purpose of this paper is to review preceding literatures on the relationship between budget deficits, government debt, and interest rates. The knowledge from this survey is as follows: (1) After the seminal paper of Plosser (1982), we have many literatures on this topic. (2) All of the recent studies care for the expectation about future budgetary situation by using either event studies or published forecasts as a proxy of the market expectations. (3) Almost all of recent studies are on US economy, and we have only two literatures on Japanese economy; Nakazato et al. (2003) and Fukuda and Ji (2002). (4) Unfortunately, these two studies do not seem to utilize the knowledge since Plosser (1982).
著者
亀田 啓悟
出版者
関西学院大学
雑誌
Working papers series. Working paper
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1-24, 2008-02

本稿では、わが国の民間消費に対する非ケインズ効果の存否をSolved-out型消費関数を応用したHjelm(2002)の手法で実証分析した。わが国経済を対象とする先行研究はすべてPerotti (1999)のオイラー方程式を応用した方法のみが採用されており、この点が本稿における新たな試みである。この結果(1)わが国においても財政再建時に非ケインズ効果が発生しており、構造的基礎的財政収支対GDP比の前年度変化1%、あるいは前年との累積変化1.5%の改善は民間消費を約1%改善する、(2)財政再建規模を同0.8%、1.2%にすると利用するデータによっては非ケインズ効果の発生は確認できず、非ケインズ効果を期待するならばより大規模の財政再建が必要である、(3)非ケインズ効果の発生は財政再建の構成やその時期の為替レート変化、公的債務残高とは無関係であり、規模のみが重要である、(4)財政拡大期には非ケインズ効果は確認できない、の4点が明らかとなった。
著者
亀田 啓悟 松下 泰章
出版者
関西学院大学
雑誌
Working papers series. Working paper
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-19, 2008-04

伝統的な経済理論に従えば政府財政の悪化は長期金利を上昇させはずである。しかしOECD諸国中最悪の財政状況にあるわが国の長期金利は、依然として低位安定を続けている。本稿ではWachtel and Young (1987)等を参考に財政赤字と長期金利に関するイベントスタディーを行い、財政赤字の悪化が長期金利に与える影響を分析する。財政赤字の予想値には財務省の『予算の後年度歳出・歳入への影響試算』による4年度先財政赤字予想値を、長期金利には10年物国債の最長期物利回りを利用した。実証分析の結果、国債市場の整備がほぼ完了したとされる2000年以降において、財政赤字の予期せざる1兆円の変化が、長期金利を約0.15〜0.25bps上昇させることが確認された。この結果は、海外の先行研究結果と比べ小規模な反応であるものの、昨今の日本の低金利を考えると妥当な反応と思われる。
著者
亀田 啓悟 李 紅梅
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.148-164, 2008 (Released:2022-07-15)
参考文献数
29
被引用文献数
1

数多くの先行研究が地域別,投資分野別に社会資本の生産性を推計しているが,これまで国直轄,国庫補助,地方単独事業別の生産性は分析されていない。その一方,地方財政分野では数多くの先行研究が中央・地方政府間の情報の非対称性や国庫補助金の存在が公共投資,特に国庫補助事業の効率性を損ねていると指摘している。そこで本稿ではこれら3事業別の社会資本データを構築し,その生産性を推計した。その結果,国直轄,国庫補助事業の生産性は確認できず,地方単独事業のみが有意な生産性を示した。また,頑健性を確認するために期間別推計,地域別推計,外部性に配慮した推計も行ったがこの結論は不変であった。以上より3事業間に生産性格差は存在し,地方単独事業のみが有意な生産性をもつといえる。なおこの結果は,先行研究の技術的,制度的,政治的な要因が社会資本の生産性を阻害するとの指摘を裏付けるものといえる。
著者
亀田 啓悟
出版者
関西学院大学
雑誌
総合政策研究 (ISSN:1341996X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-10, 2006-11

The purpose of this paper is to review recent literatures on Non-Keynesian effects pioneered by Giavazzi and Pagano (1990), and discuss the current situation on domestic studies in this area. The results are: (1) Perotti (1999) and Hjelm (2002) are superior to the others since only these two studies have theoretical foundations for estimation functions, (2) we have only two domestic studies in this field, Nakazato (2002) and Takeda, Komaki and Yajima (2005), and both of them applied Perotti (1999)'s frameworks, (3) therefore, we should analyze this topic with Hjelm (2002)'s frameworks as well.