著者
服部 周平 二井 昭佳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.35-44, 2012 (Released:2012-08-20)
参考文献数
25
被引用文献数
2 4

本稿は,微地形レベルでみた扇状地散村集落の立地特性を明らかにすることを目指し,微地形を把握できる資料を用いて本家・神社の立地微地形と敷地構成の対応関係について考察したものである.その結果,本家は尾根筋と谷筋に同程度の割合で立地し,谷筋では谷頭部を選ぶ傾向があること,また立地微地形と敷地構成に対応関係がみられることから扇状地では谷筋・尾根筋という捉え方が有効であること,本家は水防上有利な地形に立地する傾向があり,特に周辺より低い土地ではあるが洪水の被害を受けにくい谷筋谷頭部を選択していることが扇状地散村集落における大きな特徴だと指摘した.また神社の立地地形や集落との位置関係,神社の伝説から,神社が洪水から集落を守るような位置に設けられた可能性を示唆した.
著者
二井 昭佳 齋藤 潮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.182-189, 2007 (Released:2007-06-20)
参考文献数
20

本論文では,海図に記載の山アテにかかわる海上地名「~出シ」を対象として,「~出シ」とその周辺におけるアテ山の地景の変化に注目し,「~出シ」を特徴付けている地景,その地景が得られる場所と海底地形の対応関係について考察した.その結果,「~出シ」はアテ山の見かけの位置関係が変化するなかで,可視⇔不可視,相接⇔乖離に挟まれてオヤ山とシタ山が関係付けられる地景の持続領域に相当し,その領域が集魚効果の高い海底隆起部とおおむね対応することを示した.また,その領域が海底隆起部の大きさに依存せずおおむね350m以下になることから,数分の移動の間に認識されやすい地景の変化の存在が「~出シ」における山アテの特徴だと指摘した.加えて「~出シ」に対応する地景を12種類に分類した.