著者
秋山 岳 岩倉 成志
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.45-56, 2012

近年,わが国ではプロのデザイナーによって鉄道車両が設計され,旅行の付加価値を向上させる事例がみられるが,全国的な展開には至っていない.その理由のひとつに,車両デザインと需要増との関係性が明らかではないため,事業者が鉄道車両のデザイン化に消極的であることがあげられる.本論文では,小田急ロマンスカーを対象とし,鉄道車両の車内デザインを考慮した需要予測モデルの構築を目指す.そのために,1)車内色彩デザインの計測手法,2)色彩快適度関数の構築,3)車内デザインの評価手法,4)需要予測モデルの構築,以上4点を検討する.本論文で構築したモデルを用いた分析の結果,車両をデザインすることで,他交通機関からの利用者の転換が望め,一定の収入増加が見込めることを確認した.
著者
林 倫子 篠原 知史 大坪 舞
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.21-36, 2017 (Released:2017-08-20)
参考文献数
64

本研究では,大阪中之島公園の起源ともいえる山崎ノ鼻「公園地」に着目する.「この『公園地』は,豊國神社境内地造営と一体的に,大阪府によって計画・整備された門前の盛り場であった」という仮説を設定し,この仮説に関する3つの傍証,すなわち(1) 境内の隣接地に「公園地」が必要とされた理由,(2)両事業の主体・時期の重なり,(3) 開設直後の「公園地」施設とその利用実態,を示した.さらにこの「公園地」の制度上の位置づけや公園制度との関係についても考察した.「公園地」は公共の管理する盛り場であるという意味で最初期の公園と同じ場所であったが,近代土地制度上は道路施設の一部として位置づけられていたこと,西洋的公園観の広まりとともに「仮公園」との併存を経て,正式な公園に編入されたことを示した.
著者
八尾 修司 山口 敬太 川崎 雅史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) = Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. D1 (Architecture of Infrastructure and Environment) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.95-107, 2015

本研究は,1928(昭和3)年に都市計画決定した総合大阪都市計画の公園道路を対象に,公園道路網計画の詳細と,その一部である桃ヶ池・田邊公園道路の実現過程を明らかにするものである.本研究の結果,大阪市の公園道路網計画が自然の風致を活かした系統的な公園連絡を意図したものであったこと,この公園道路網の一部である桃ヶ池公園道路において,沿道地主の主体的な意志と大阪府建築課との協働により,壁面線後退を活用した良好な景観の形成が目指されていたことを明らかにした.また,同公園道路の設計及び整備の具体的内容とその変遷を示し,公園道路の形成の過程を明らかにした.
著者
阿部 俊彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.37-51, 2017 (Released:2017-11-20)
参考文献数
10

東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県気仙沼市内湾地区では,震災前は防潮堤が無かったため,宮城県から示されたL1津波を防ぐための防潮堤の計画高さに対して,多くの地域住民が反対した.筆者は,住民等で構成される内湾地区復興まちづくり協議会のコーディネーターとして,協議体制を構築し,模型やCGなどを使ったワークショップを企画運営に関わり,宮城県が設計を進めていた防潮堤の高さ,位置,形式,意匠デザインの設計変更案の検討支援をおこなった.本研究では,その合意形成に至る一連の協議プロセスを整理し,多主体が関係する景観デザインのプロジェクトにおけるコーディネーターとしての専門家の役割と工夫を示すことを目的とする.
著者
橋本 政子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.108-115, 2015 (Released:2015-10-20)
参考文献数
28

高速自動車国道法に基づく日本初の高速道路である名神高速道路が開通してから半世紀となる.名神高速道路の計画整備に際して「美しい道路を造る」ことが基本方針に掲げられた.日本道路公団初代総裁岸道三による発意を機に策定されたとする基本方針は「特殊設計審議委員会」の設置とともに推進されることとなった.中でも都市計画・造園・建築・地理等各分野の専門家によって構成された「審美委員会」の活動は,美しい道路づくりに寄与したと評されている.本研究では,高速道路黎明期の計画整備における岸道三と「審美委員会」による美しい道路づくりへの取り組みの全体像と設計思想の特徴を明らかにし,その後の景観設計への影響について考察を行うことを目的としている.
著者
秋山 岳 岩倉 成志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.45-56, 2012 (Released:2012-10-19)
参考文献数
12

近年,わが国ではプロのデザイナーによって鉄道車両が設計され,旅行の付加価値を向上させる事例がみられるが,全国的な展開には至っていない.その理由のひとつに,車両デザインと需要増との関係性が明らかではないため,事業者が鉄道車両のデザイン化に消極的であることがあげられる.本論文では,小田急ロマンスカーを対象とし,鉄道車両の車内デザインを考慮した需要予測モデルの構築を目指す.そのために,1)車内色彩デザインの計測手法,2)色彩快適度関数の構築,3)車内デザインの評価手法,4)需要予測モデルの構築,以上4点を検討する.本論文で構築したモデルを用いた分析の結果,車両をデザインすることで,他交通機関からの利用者の転換が望め,一定の収入増加が見込めることを確認した.
著者
林 倫子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.26-36, 2015 (Released:2015-04-20)
参考文献数
105

明治期までの鴨川納涼では,今日見られるような高床納涼席が沿岸に設置されるだけでなく,中州や橋の下など川中全体に盛り場としての納涼場が形成されていた.本研究では,納涼営業に関する制度面,物理環境面に着目して伝統的な納涼場の廃止までの変遷を追い,鴨川納涼場の変質をもたらした要因について考察した.その成果は以下のとおりである:1)官有地借用制度の変更と規制の強化が行われ,2)鴨川運河工事に伴う河床掘削で出店が敬遠され,構造規制の議論も始まった.3)それと同時に納涼場は徐々に衰退し,博覧会的要素導入という再興策も講じられたものの定着しなかった.