著者
行方 浩二 高森 繁 田中 岳史 丸山 俊郎 大橋 薫 児島 邦明 深澤 正樹 別府 倫兄 二川 俊二
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.808-812, 1997-10-25 (Released:2009-08-13)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

汎発性腹膜炎を契機として発見されたMeckel憩室原発平滑筋肉腫穿孔の1例を経験した。症例は48歳, 男性。嘔吐, 発熱, 右下腹部痛を主訴に来院し, 急性腹症, 汎発性腹膜炎の診断にて緊急開腹手術を施行した。回盲弁より100cm口側の回腸に憩室を認め, その先端に7.5×7×6.5cmの弾性軟・被膜を有する腫瘍が存在していた。腫瘍は破裂し膿瘍が付着, 一部は大網に覆われていた。術式は回腸部分切除+腹腔ドレナージ術を施行した。病理組織学的には, 腫瘍は核の大小不同を示す異型性の強い紡錘形細胞が増生し核分裂像もみられており, Meckel憩室原発平滑筋肉腫を伴った, Meckel憩室穿孔と診断した。Meckel憩室が平滑筋肉腫を伴った症例は, 本邦で7例しか報告されておらず若干の文献的考察を含めて報告する。
著者
太田 仁 別府 倫兄 二川 俊二
出版者
日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.100-107, 2002-05-31 (Released:2012-11-13)
参考文献数
21

腹嚢癌切除69例を対象に進展様式と遠隔成績との関連を検討し,予後を規定する因子を明らかにすることを目的とした.切除例の内訳は,m癌11例,mp癌7例,ss癌30例,se,si癌21例で,予後良好なm,mp癌を除いた進行癌について,各因子別の予後を比較した.治癒切除率は,ss癌83.3%,se,si癌19.0%であり,根治度別の5年生存率は治癒切除55.2%,非治癒切除では3年生存例を認めなかった.リンパ節転移の有無別では,n(-)の5年生存率は50.4%,n(+)では5.7%,binf因子の有無別では,binf(-)35.6%,binf(+)では3年生存例はなかった.その他の予後不良因子として,stageIII,IV,乳頭型以外の肉眼形態,Gn(+)があげられた.5年以上長期生存の進行胆嚢癌症例は,いずれも治癒切除例で,binfは全例陰性,リンパ節転移陽性はn1(+)の1例のみであった.