著者
二本 正昭 稲葉 信幸 平山 義幸 木本 浩司 宇佐美 勝久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録
巻号頁・発行日
vol.95, no.383, pp.35-42, 1995-11-23
被引用文献数
3

CoCrTa薄膜媒体の組成的微細構造を解明することを目的に、分析機能を持つ高分解能電子顕微鏡法により、面内および垂直磁気記録媒体として検討されているCoCrTa媒体の微細構造を調べた。高い基板温度で形成した媒体では、面内および垂直磁気記録媒体のいずれの媒体でも、結晶粒界に25at.%を超えるCrの強い偏析層が観察された。このCrに富んだ偏析層の厚さは、1.5〜2nmと解釈された。CoCrTa面内媒体のバイクリスタル結晶粒界のCr偏析量は通常の結晶粒界の組成に比べ、若干低い値が得られた。結晶粒内のCr量は膜の平均組成より低く、しかも6〜12%程度の範囲で揺らいで分布していることが分かった。膜の形成基板温度、磁気特性および組成偏析構造の関係を調べた結果、Cr偏析構造と保磁力には密接な関係があることが確認された。