著者
山縣 友紀 五十嵐 芳暢 中津 則之 堀本 勝久 福井 一彦 植沢 芳広 山田 弘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.D-I81_1-18, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2

In drug development, Drug-Induced Liver Injury (DILI) is a significant cause of discontinuation of development, and safety evaluation and management technology at early development stage are highly required. In recent years, toxicity prediction by in silico analysis is expected, and the machine learning research using omics data has attracted attention. However, the lack of explanation of machine learning is a problem. In order to make an appropriate safety assessment, it is necessary to clarify the mechanism of the toxicity (toxic course). In this study, we focus on the toxic course and propose an ontological model of the liver toxicity, which systematizes toxicity knowledge based on a consistent viewpoint. In application research, we introduce a prototype of a knowledge system for supporting toxicity mechanism interpretation. Based on the ontology, this system provides information flexibly according to the user's purpose by using semantic technologies. The system provides a graph visualization function in which nodes correspond to concepts and edges correspond to interactions between concepts. In such a visualization function, a toxic course map shows causal relationships of the toxic process. We illustrate examples of application to safety assessment and management by combining ontological and data-driven methodologies. Our ontological engineering solution contributes to converting from data to higher-order knowledge and making the data explainable in both human and computer understandable manner. We believe that our approach can be expected as a fundamental technology and will be useful for a wide range of applications in interdisciplinary areas.
著者
住田 佳代 五十嵐 芳暢 鳥塚 尚樹 松下 智哉 阿部 香織 青木 幹雄 漆谷 徹郎 山田 弘 大野 泰雄
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第37回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.246, 2010 (Released:2010-08-18)

【目的】ジメチルスルホキシド(DMSO)は細胞を用いたアッセイにおいて脂溶性の化合物を添加するときによく用いられる。しかし,DMSOはその濃度が高くなると, 細胞毒性を呈することが知られており,DMSOの細胞に対する種々の影響をよく踏まえておくことが必要である。今回,我々はDMSOがヒト凍結肝細胞の遺伝子発 現に与える影響を検討した。 【方法】1.2x106個のヒト凍結肝細胞を6ウエルプレートに播種し,4時間後に培地交換した後,さらに20時間培養した。0,0.1,0.5,0.75,1,2%(v/v)DMSOを 含む培地に交換し,24時間培養した。細胞播種から48時間後に培地及び細胞の全RNAを回収した。培地内のラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH)活性を測定し,細胞 毒性を評価した。また,HGU133Plus2.0アレイ(アフィメトリックス社,約55,000プローブ搭載)を用いて網羅的遺伝子発現解析を行い,DMSOの影響を検討した。 【結果】LDH活性を指標とした細胞毒性は,DMSO濃度2%(v/v)まで認められなかった。遺伝子発現データを解析した結果,DMSO濃度0.75%(v/v)において,2倍 以上あるいは1/2以下の発現変動を示した遺伝子数はそれぞれ11個,46個と少なかった。また,薬物代謝酵素の発現への影響を解析した結果,大半の酵素に関して, DMSO濃度0.75%(v/v)までは発現変動の振れ幅が1標準偏差内に収まり,大きな影響は認められなかった。今回得られた結果を総合的に考察すると,少なくとも DMSO濃度0.5%(v/v)までは遺伝子発現データに大きな影響を与えないことが示唆された。現在,ラット初代肝細胞を用いてDMSOの影響を検討中であり,合わせ て報告したい。
著者
山縣 友紀 五十嵐 芳暢 中津 則之 堀本 勝久 福井 一彦 植沢 芳広 山田 弘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.2F401, 2018

<p>薬剤性肝障害は医薬品開発中止の主要因となっているが,肝毒性の発現機序(メカニズム)は複雑でありその全体像の把握は困難とされている.本研究では,オントロジー工学理論に基づき,機序の本質を捉えた肝毒性知識の体系化と記述枠組みのモデル化を行う.さらに,応用として創薬における安全性評価への適用について検討する.</p>
著者
五十嵐 芳暢 中津 則之 青枝 大貴 石井 健 山田 弘
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第42回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-197, 2015 (Released:2015-08-03)

アジュバントデータベースプロジェクトでは、各種アジュバントを投与した動物の網羅的遺伝子発現情報を取得解析したデータベースを構築している。アジュバントとは抗原とともに投与することで、抗原に対する免疫原性を増強、加速、延長する免疫増強製剤の呼称である。しかし、これまでアジュバント自体の作用メカニズムについては、明らかではない部分が大きかった。そこで、アジュバント単体を投与したラットの脾臓、肝臓等の網羅的遺伝子発現情報を取得することによって、アジュバントの副作用や毒性および作用メカニズムを探索、評価することを目指している。一方、これまでトキシコゲノミクスプロジェクトでは、薬剤を投与したラット肝臓や腎臓の遺伝子発現情報を用いた毒性予測モデルを構築してきた。これら毒性予測モデルにアジュバント投与の遺伝子発現情報を適用することによって、アジュバント単体の安全性や毒性、作用メカニズムを評価できる可能性がある。本報告では上記毒性予測モデルに改良を加え、外部データによって再評価したモデルと、その予測モデルにアジュバント投与の遺伝子発現情報を適用した例について紹介する。