著者
青枝 大貴 石井 健
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.19-27, 2012-01-30 (Released:2012-04-27)
参考文献数
50

近年、自然免疫の分子機構が明らかになるにつれて、これまで経験則によって用いられていたワクチンやワクチンアジュバントの作用機序を科学的に理解することが可能になりつつある。本稿では、これまでに明らかになっている自然免疫応答による樹状細胞活性化とそれに伴う獲得免疫応答の過程、様々な疾患/病態に関与するTh1, Th2, Th17などの異なるCD4T細胞サブセットへの分化制御に自然免疫シグナルが及ぼす影響などについて概説し、抗原及びアジュバントを適切な樹状細胞に標的することによる次世代ワクチン開発の可能性について述べる。
著者
五十嵐 芳暢 中津 則之 青枝 大貴 石井 健 山田 弘
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第42回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-197, 2015 (Released:2015-08-03)

アジュバントデータベースプロジェクトでは、各種アジュバントを投与した動物の網羅的遺伝子発現情報を取得解析したデータベースを構築している。アジュバントとは抗原とともに投与することで、抗原に対する免疫原性を増強、加速、延長する免疫増強製剤の呼称である。しかし、これまでアジュバント自体の作用メカニズムについては、明らかではない部分が大きかった。そこで、アジュバント単体を投与したラットの脾臓、肝臓等の網羅的遺伝子発現情報を取得することによって、アジュバントの副作用や毒性および作用メカニズムを探索、評価することを目指している。一方、これまでトキシコゲノミクスプロジェクトでは、薬剤を投与したラット肝臓や腎臓の遺伝子発現情報を用いた毒性予測モデルを構築してきた。これら毒性予測モデルにアジュバント投与の遺伝子発現情報を適用することによって、アジュバント単体の安全性や毒性、作用メカニズムを評価できる可能性がある。本報告では上記毒性予測モデルに改良を加え、外部データによって再評価したモデルと、その予測モデルにアジュバント投与の遺伝子発現情報を適用した例について紹介する。