著者
小猿 恒志 五木田 麻里 堀川 達弥
出版者
一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
雑誌
日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌 (ISSN:24337846)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.111-115, 2018-04-30 (Released:2019-01-17)
参考文献数
16
被引用文献数
1

27歳, 男性。左手の浮腫を主訴に当科初診。数年前から年に6, 7回, 右手あるいは左手に浮腫が出現して, 1日後には改善することを繰り返していた。初診の数日前に家具の組み立てに際して金槌を使用した後に手に軽度の搔痒を伴う浮腫が生じた。初診時に左手背を中心に, 左第2, 3, 4, 5指に浮腫があった。補体とC1インアクチベーター活性は正常であった。左前腕の伸側に試験管振とう器による振動負荷試験を実施した。試験管振とう器の接触部だけではなく, 左前腕全体に潮紅および浮腫を認めた。加えて同部に軽度の搔痒の訴えがあった。7時間後も振動負荷した部位中心に発赤を伴った腫脹が持続した。圧負荷試験は陰性, 皮膚描記法は陽性であった。以上から振動血管性浮腫 (振動蕁麻疹) と診断した。
著者
五木田 麻里 山田 陽三 葉 乃彰 藤田 博己 夏秋 優
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.186-190, 2017

60歳代,女性。発症の20日前に淡路島北部にて墓掃除,発症の10日前に六甲山南側の山麓部にて木の剪定作業を行った。8月中旬より発熱,全身の皮疹が出現したため,当科を受診した。初診時,体幹,四肢を中心に淡い紅斑が多発し,手掌や足底にも紅斑を認めた。また,下腹部に2ヶ所の刺し口を認めた。検査所見では白血球増加,血小板低下,CRP 高値,肝障害,CK 上昇を認め,ペア血清による Rickettsia japonica 抗体価の有意な上昇を認めたことより日本紅斑熱と診断した。ミノサイクリンの投与により皮疹は軽快したが,経過中に後頸部痛と四肢運動感覚障害が出現し,精査の結果,無菌性髄膜炎,多発単神経炎と診断した。その後,アジスロマイシンとシプロフロキサシンの投与でこれらの神経症状は軽快した。日本紅斑熱に神経障害を合併した例は自験例以外に5例報告があり,全例無菌性髄膜炎を認めたが多発単神経炎の合併は自験例のみであった。(皮膚の科学,16: 186-190, 2017)