著者
吉田 真理子 内田 広夫 川嶋 寛 五藤 周 佐藤 かおり 菊地 陽 岸本 宏志 北野 良博
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.759-764, 2010

症例は4か月男児.腹部腫瘤を主訴に紹介され,エコー上肝内に径5.7cm大の多房性嚢胞性腫瘤を認め,当初は間葉系過誤腫が疑われた.1週間後の腹部造影CTでは充実性成分を伴う多発性肝腫瘤と肝門部・後腹膜リンパ節腫大を認め,悪性腫瘍が強く疑われた.早期診断および治療のために緊急入院し,経皮針生検を行った.ラブドイド腫瘍と診断され,ICE療法を開始したが,治療に全く反応せず,腫瘍は急速に増大した.入院直後より全身状態も急速に悪化し,人工呼吸管理,持続血液透析濾過を含む集中治療を行ったが改善を得られず,初診から約1か月後に死亡した.肝ラブドイド腫瘍は非常に稀で,著しく予後不良な悪性腫瘍である.現在までの報告例は検索しえた範囲で33例のみであり,文献的考察を加えて報告する.
著者
吉田 真理子 内田 広夫 川嶋 寛 五藤 周 佐藤 かおり 菊地 陽 岸本 宏志 北野 良博
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.759-764, 2010-06-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
26

症例は4か月男児.腹部腫瘤を主訴に紹介され,エコー上肝内に径5.7cm大の多房性嚢胞性腫瘤を認め,当初は間葉系過誤腫が疑われた.1週間後の腹部造影CTでは充実性成分を伴う多発性肝腫瘤と肝門部・後腹膜リンパ節腫大を認め,悪性腫瘍が強く疑われた.早期診断および治療のために緊急入院し,経皮針生検を行った.ラブドイド腫瘍と診断され,ICE療法を開始したが,治療に全く反応せず,腫瘍は急速に増大した.入院直後より全身状態も急速に悪化し,人工呼吸管理,持続血液透析濾過を含む集中治療を行ったが改善を得られず,初診から約1か月後に死亡した.肝ラブドイド腫瘍は非常に稀で,著しく予後不良な悪性腫瘍である.現在までの報告例は検索しえた範囲で33例のみであり,文献的考察を加えて報告する.
著者
五藤 周 北野 良博 内田 広夫 四本 克己 石丸 哲也 小熊 栄二 野沢 久美子 佐藤 裕美子 川嶋 寛 岩中 督
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.687-692, 2007-07-31 (Released:2008-08-29)
参考文献数
12

当センターで現在行っている腸重積症非観血的整復術の特徴は, (1) “Rule of Three” (3feet≈100cm溶液柱圧, 3分, 3回) を遵守する (2) 太径 (30Fr. から36Fr.) の注腸用カテーテルを使用する (3) 超音波下に整復を行う (4) 7.5倍希釈ガストログラフィンを注腸する, といった点であるが, 開設以来, いくつかの点で変更を行った。今回, 1983年5月~2005年12月の間に当センターで経験した, 特発性腸重積症645例を後方視的に検討し, 当センターの非観血的整復術の成績を患者背景, 整復法の変遷とともに報告する。当センターの通算の非観血的整復率は83.6%であった。多重ロジスティック回帰分析を行うと, 低年齢, 長い経過時間, 前医での整復不成功の3つが非観血的整復率を低下させる危険因子であった。
著者
後藤 悠大 増本 幸二 新開 統子 千葉 史子 小野 健太郎 坂元 直哉 五藤 周 瓜田 泰久 高安 肇
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.1155-1160, 2017-10-20 (Released:2017-10-20)
参考文献数
39

【目的】小児精巣腫瘍は全小児固形腫瘍の約1~2%とまれであり,病理組織学的特徴や生物学的特性・予後が成人症例とは異なる.今回,当科で経験した小児精巣腫瘍の臨床的特徴を検討した.【方法】当科開設以来の小児精巣腫瘍を後方視的に検討し,小児精巣腫瘍の臨床的特徴や予後,治療の妥当性について検討した.【結果】当科が開設された1979年から2016年までの37年間における15歳未満の精巣腫瘍は9例であり,内訳は成熟奇形腫4例,未熟奇形腫1例,胎児性癌1例,卵黄囊腫瘍3例であった.術前画像でリンパ節転移が疑われた症例はなく,病期は全例がI期であった.手術は術前より成熟奇形腫が疑われた1例に腫瘍核出術が行われたが,その他の症例では高位精巣摘除術が行われた.胎児性癌の1例のみ後腹膜リンパ節郭清術が施行された.いずれの症例も化学療法は施行されなかった.術後経過観察期間は平均5.2年(中央値3年)であり,全例に再発は認めていない.【結論】小児精巣腫瘍I期に対して高位精巣摘除術のみで経過観察を行い,再発・転移を認めず予後良好な結果であった.われわれの経験からは,思春期前の小児精巣腫瘍I期に対して,術後化学療法を行わず高位精巣摘除術のみとする治療法は妥当性のある治療の一つと考えられた.