著者
五関 俊太郎 後藤 勝洋 松浦 執
出版者
日本STEM教育学会
雑誌
STEM教育研究 : 論文誌 (ISSN:24346438)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.21-30, 2022-05-16 (Released:2022-06-17)

現代社会ではイノベーターの視点が求められており,学校教育においてもその人材の育成が注目される。イノベーションを創出する人材の育成にはデザイン思考とイノベイティブ・マインドセットの涵養が重要とされる。本研究では,第6学年理科「電気の活用」の展開として,センサーを用いたプログラミングを含む回路づくりを行い,デザイン思考の「Double Diamond」モデルをベースとしたものづくり活動を実践した。児童の討論記録と作品の分析から,Double Diamondモデルをベースとした指導計画の下で,多様なアイデアの創出が見られた。また,イノベイティブ・マインドセットに関する質問紙調査から,「理科の学習への意欲」「課題解決への粘り強さ」「コミュニケーションへの姿勢」「変革志向」「社会への参画」の5因子が抽出された。さらにこれらの因子が,本ものづくり実践の実施前後で顕著に向上することが見られた。
著者
後藤 勝洋 五関 俊太郎
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.97-106, 2020-07-31 (Released:2020-07-31)
参考文献数
16
被引用文献数
2

本研究では,理科学習での実験計画の検討時に,クリティカル・シンキング能力を引き出すために,フローチャート型の実験計画表を作成して,互いに検討しあう活動を取り入れた指導法を考案した。この指導法の効果を検証するために,小学校6年生96名を対象に,「水溶液の性質」の単元で授業実践を行った。実践では,初めに,実験の手順や,実験の安全性,実験器具を明記したフローチャート型実験計画表を作成させ,次に,実験計画をグループで合意形成した後,その妥当性を,他のグループと検討する活動を行った。フローチャート型実験計画表の記述や話し合い時の批判的記述を分析した結果,実験計画力とクリティカル・シンキングが引出されることが見出された。さらに,質問紙分析により,クリティカル・シンキングの態度的側面の向上も見出された。