著者
大木 理 井上 忠男
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.557-561, 1987-10-25
被引用文献数
1

微生物等の培地用として市販されている Gelrite の二重拡散法担体としての利用を検討した。CMV の純化ウイルスと抗血清を用い, 0.1Mトリス塩酸緩衝液 PH 8.0, 0.85% NaCl, 0.2% NaN_3 に 0.15% Gelrite, 0.2% MgCl_2・6H_2O, 0.3% SDS を添加したゲル (スライドグラスあたり 1.5 ml) を使って同条件の 0.5%精製寒天ゲルと比較したところ, Gelrite ゲルでは室温で 3〜5時間で結果を判定でき, 約50 ng/mlの純化 CMV, 感染タバコ葉の256倍希釈汁液中の CMV を検出でき, 所要時間は寒天ゲルの約半分で検出精度は100倍程度すぐれていることが分かった。沈降帯は TMV 等の長形ウイルスでも明瞭に観察されたのでウイルス抗原の検出診断に広く利用できるものと考えられる。また透明度が高いため, エピトープ分析などにも有用と思われる。