著者
井上 晴貴
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.210-211, 2006
参考文献数
3

日常生活の中で,化学の恩恵に出会うことは多い。しかし,市民から見た化学のイメージは,難しく,一部の科学者のものであるという意識もある。感受性豊かな時期に興味関心を持ち,多くの化学のおもしろさにふれながら「ふしぎ」を感じる心をもつことが大切である。その積み重ねが疑問を探究する姿勢に結びつき,新たな課題や独創性を生み出すことになる。今回,身近な生活の中にある現象「冷える」をテーマにした実験を紹介する。
著者
井上 晴貴 上原 誠一郎
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

本研究では,熊本県八代市泉町下岳産のひすい輝石,オンファス輝石および随伴鉱物の産状や鉱物学的性質を報告し,成因などを議論する。ひすい輝石およびオンファス輝石は蛇紋岩メランジュ中の変成斑レイ岩に産する。緑泥石,パンペリー石,鉄藍閃石,普通輝石が主な構成鉱物であり,ごくわずかに石英も含む。ひすい輝石は約0.5 cmの白色脈や約10 μmの微細な結晶として,主に曹長石,カリ長石,白雲母を伴って産する。いずれのひすい輝石も組成はひすい輝石端成分に近いが,縁辺部にかけてCa, Feの含有量が増えていき,オンファス輝石の組成に近くなる。また,ひすい輝石の周囲に緑簾石-(Sr)などのSr鉱物がしばしば共生する。また,オンファス輝石は数cmの暗緑色脈として産し,この脈を構成する結晶は針状・粒状で約10 μmの微細なものである。組成はFeに富み,脈の一部はエジリン-普通輝石の組成を持つ。以上のことから,曹長石の分解反応のほかに,熱水からこれらの鉱物が直接晶出する過程も考えられる。