- 著者
-
井上 雅勝
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第11回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.73, 2013 (Released:2013-11-05)
(a) 藤田が今井を殴った吉田を誉めた。という固有名詞を含む構造的曖昧文の理解において、関係節主要部(e.g. ,吉田を)での再解釈のための処理負荷(ガーデンパス (GP) 効果)が大きくなる現象 (井上, 2008) については、語句間の何らかの共起関係が高いことによって単文が選ばれやすくなったことに基づくという説明も可能である。この可能性を排除するため、本実験では、 (b) A男が今井を殴った吉田を誉めた。のように、共起関係をもち得ない仮名の固有名詞を含む (b) 文と、(a) 文のGP効果量を比較した。その結果、GP効果の指標となる「吉田を」の読み時間に、(a)–(b) 間で差はみられず、同程度のGP効果があらわれていた。以上の結果から、(a) におけるGP効果は、共起関係が高さに基づくものではないことが示された。