著者
秋山 舞亜 小早川 達 小林 剛史
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第11回大会
巻号頁・発行日
pp.90, 2013 (Released:2013-11-05)

本研究では、視覚/嗅覚/視覚・嗅覚刺激によって誘発される自伝的記憶想起の反応時間と想起内容の関係に着目した。その結果、嗅覚および視覚手がかりを同時提示した群、視覚手がかりのみを提示した群、嗅覚手がかりのみを提示した群の順に自伝的記憶を想起するまでに要した反応時間が短いことが示された。
著者
相薗 敏子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第11回大会
巻号頁・発行日
pp.161, 2013 (Released:2013-11-05)

人々は日常生活で鉄道や通信など多様なサービスを利用しており,それによって社会インフラ上には交通系ICカードや携帯電話の利用履歴,あるいはPOSデータなど膨大なデータが日々生成・蓄積されている。我々は,社会インフラ上のシステムの全体最適化や顧客サービスの満足度向上を目的として,これらデータを人々の生活履歴のデータと捉えて生活のパタンや行動特性を抽出・活用する研究を行っている。本稿では,鉄道の移動データから人々の生活パタンを抽出する手法および鉄道移動データによる実験結果について述べる。
著者
喜入 暁 越智 啓太
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第11回大会
巻号頁・発行日
pp.155, 2013 (Released:2013-11-05)

女性の魅力評価における研究で,Dixson et al. (2011)は,WHR2パタン×バストサイズ3パタンの刺激を用いた実験を行い,バストサイズに関係なく低WHRが魅力的であると判断されるにもかかわらず,視線は顔やバストにのみ大きく注意が向けられることを示した。しかしこれに関して刺激による影響が考えられる。完全に全裸の実験刺激を用いたので,普段見ることのない新奇な身体的特徴をよりよく注視したという可能性である。本研究では水着を着用した女性で,WHRのみを編集した5パタンの刺激を用いて実験を行った。この結果,視線に関してDixson et al. (2011)のような結果は示されず,身体のそれぞれの領域に同程度の注意が向けられることが示された。
著者
高橋 知世 北神 慎司
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第11回大会
巻号頁・発行日
pp.123, 2013 (Released:2013-11-05)

Webサイトなどのインタフェースに関して「美しいものは使いやすいだろう」と判断してしまう美的ユーザビリティ効果は、これまで多数の研究で報告されてきた。また、Webサイトの美しさには質の異なる2種類の美しさがあることが明らかになってきた。美しさについての研究で蓄積された知見を統合すると、そのうち1種類は、流暢性と呼ばれる情報処理の容易さを指す概念によって規定される美しさであると推測された。そこで、本研究では美的ユーザビリティ効果における流暢性の役割を検討した。実験参加者は流暢性が異なる複数のWebサイトを提示され、その美しさと使いやすさとを評定した。その結果、流暢性は使いやすさの判断に対して直接影響し、かつ、美しさを通して間接的にも影響することが示された。さらに、美しさについて詳細に分析したところ、使いやすさの判断により強く影響するのは、流暢性に規定される美しさであることが判明した。
著者
井上 雅勝
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第11回大会
巻号頁・発行日
pp.73, 2013 (Released:2013-11-05)

(a) 藤田が今井を殴った吉田を誉めた。という固有名詞を含む構造的曖昧文の理解において、関係節主要部(e.g. ,吉田を)での再解釈のための処理負荷(ガーデンパス (GP) 効果)が大きくなる現象 (井上, 2008) については、語句間の何らかの共起関係が高いことによって単文が選ばれやすくなったことに基づくという説明も可能である。この可能性を排除するため、本実験では、 (b) A男が今井を殴った吉田を誉めた。のように、共起関係をもち得ない仮名の固有名詞を含む (b) 文と、(a) 文のGP効果量を比較した。その結果、GP効果の指標となる「吉田を」の読み時間に、(a)–(b) 間で差はみられず、同程度のGP効果があらわれていた。以上の結果から、(a) におけるGP効果は、共起関係が高さに基づくものではないことが示された。
著者
永井 聖剛 山田 陽平
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第11回大会
巻号頁・発行日
pp.27, 2013 (Released:2013-11-05)

創造性には,広範かつ新しい枠組みから物事を捉え新規かつ独創的なアイデアを産み出す「拡散的思考」,制約や状況に基づきアイデアを産出する「収束的思考」の2成分が存在する。創造性を促進する要因として“気分状態”は主要な研究対象であるが,本研究では,認知情報処理は身体の状態や動作に影響を受けるとする“身体性認知(Embodied Cognition)”の枠組みに基づき,「腕を大きく回す動きが(小さく回す動きよりも)広範で拡散的な思考を導き,拡散的思考が促進されるか否か」を検討した。「実在しないコメの名前」を考えるという創造性課題を課し,事前に「○○ヒカリ」という典型的回答を5例提示した。実験の結果,腕回し動作の大小は回答総数には影響を与えなかったが,大きく回す群では小さな群よりも典型例に縛られない非典型的なアイデアの回答比率が高く,拡散的思考が促進されることが明らかとなった。
著者
寺本 渉 清水 乃輔 浅井 暢子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第11回大会
巻号頁・発行日
pp.133, 2013 (Released:2013-11-05)

本研究ではバーチャル・リアリティ(VR)空間に提示される他者を身近に感じる程度,すなわち,臨(隣)人感を社会的サイモン課題遂行時の事象関連電位を計測した。被験者は,別室にいる実験協力者とともに,ヘッドマウントディスプレイを通じて共通のVR空間を観察した。被験者の課題は,決められた色の球が画面の左手前または右奥に呈示された瞬間にできるだけ速く,反応キーを押すことであった。この課題中には画面左奥に他者(実験協力者)のアバターを表示した。実験では課題前にVR空間内で他者とコミュニケーションを取らせるとともに,他者の実際の頭部位置をアバターに反映させる条件と,コミュニケーションをせず,静止アバターを呈示する条件を設けた。その結果,他者の存在が十分に認識できたと考えられる,前者の条件でのみ,社会的サイモン効果とそれに伴う特徴的な事象関連電位が現れることが示された。