著者
平瀬 達哉 井口 茂 中原 和美 松坂 誠應
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-5, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
20
被引用文献数
4 1

〔目的〕在宅虚弱高齢者に対し異なる運動介入を行い,身体機能に及ぼす影響について経時的な変化から検討することである。〔対象〕65歳以上で要支援1~要介護1の在宅虚弱高齢者51名とした。〔方法〕対象者を事業所別にバランス運動群24名,筋力増強運動群27名に振り分け,週1回1時間の運動を3ヶ月間実施した。身体機能として,開眼片足立ち,椅子起立時間,Timed Up & Go Test(TUG),下肢筋力を評価し,各運動群におけるそれらの経時的変化を解析した。〔結果〕経時的変化では,バランス運動群は下肢筋力が1ヶ月後より有意に増加し,その後全ての身体機能評価が有意に改善されていた。筋力増強運動群では,下肢筋力が2ヶ月後より有意に増加し,その後椅子起立時間,TUGが有意に改善されていた。[結論]各運動群ともに下肢筋力の増加後にパフォーマンス能力が向上していた。また,バランス運動と筋力増強運動では効果の反応が異なることが示された。
著者
田川 泰 浦田 秀子 井口 茂 中野 裕之 石橋 経久 楠本 真理子 片田 美咲 Saunders Todd 山口 美和子 松本 愛 山根 幸子
雑誌
長崎大学医学部保健学科紀要 = Bulletin of Nagasaki University School of Health Sciences (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.89-94, 2002-06

音楽の種類による心理的,身体的影響の差異はいまだ明らかではない.そこで,整形外科領域で同様の体動制限を受けている症例を対象に,クラシック音楽群4症例とロック音楽群5症例による受動的音楽療法下における心理的ストレス反応と細胞性免疫能を検討した. クラシック群はほとんどの症例において快感を感じ,空想,回想のため思考低下を認めたが,睡眠傾向はほとんど認められなかった.免疫能の指標であるCD4/CD8は音楽療法開始時より終了時に低値を示した.一方,ロック群は快感と不快感を感じる個人差を呈したが,空想,回想は認められなかった.5症例中3症例に睡眠傾向を認めた.CD4/CD8は個人差を認めたが,快感を感じた症例は終了時に低値を認めた. 上記のように,音楽の種類により,心理的,免疫学的差異があり,これらの特徴を理解して音楽療法を評価・活用すべきである.
著者
沖田 実 中野 裕之 田原 弘幸 井口 茂 宮原 勝彦 吉田 佳弘 片岡 拓巳 田口 厚
雑誌
長崎大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.9-15, 1993-03-31

異常歩行をきたす症例は,下肢,体幹の可動域制限,筋力の低下,疼痛,痙性などが原因である.その中で,距腿関節や足根中足関節など,足部の可動域制限によるものを多く経験してきた.そこで,足部の可動域制限が歩行に及ぼす影響を床反力,動作解析より検討し,理学療法のあり方について考察を加えた.その結果,heel strike後に荷重に対する調節が行われ,推進力は低下した.歩容においては,膝関節の角度変化に3種類の代償方法が考えられた.したがって,可動域制限を最小にとどめるとともに他の関節周囲筋の筋力強化,早朝からのアーチ機能の維持・向上,靴に対する配慮,工夫が必要と思われた.Abnormal gait is the result of limited range of motion in the lower limbs and trunk, muscle weakness, pain, and spasticity. We often experienced patients who presented with abnormal gait because of limited range of motion in the foot. Thus we investigated the effect of limited range of motion in the foot on gait using force plate and motion analysis, and we considered the status of physical therapy for limited range of motion in the foot. 1) The weight bearing was controled after heel strike 2) The acceleration force decreased. 3) The knee angle variation could be categorized into three patterns. We considered it important, therefore, to minimize limitations on range of movement, to strengthen knee, hip and trunk muscles, to maintain arch function from the early stage, and to consider and improvize the structure of shoes.
著者
木戸川 紀子 田原 弘幸 坂本 繁樹 山本 秀正 本田 亜紀子 田代 泰信 馬場 礼美 井口 茂
雑誌
長崎大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.193-196, 1992-03-31

病院における事故について,リハビリテーションカルテ,看護日誌をもとに調査した. 対象は,昭和63年4月から平成3年11月までに当院に入院した患者,合計673名(男性274名,女性409名)である. 多数回事故を起こしている患者は痴呆を有し,それによる異常行動が原因と思われた. 事故多発時間帯は起床時・消灯時で院内の体制の再検討を示唆するものもあった.事故に伴う傷害で骨折では大腿骨,肋骨,上腕骨と全身的であった. この調査の結果から事故予防策を考えた. ① 移動・移乗能力の評価を厳密にし過大なプログラムを避ける. ② ベッド周囲の環境整備 ③ 事故報告の様式を整える.
著者
田川 泰 浦田 秀子 中野 裕之 井口 茂 石橋 経久 楠本 真理子 片田 美咲 Todd SAUNDERS 山口 美和子 松本 愛 山根 幸子
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学医学部保健学科紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.89-94, 2002-06

音楽の種類による心理的,身体的影響の差異はいまだ明らかではない.そこで,整形外科領域で同様の体動制限を受けている症例を対象に,クラシック音楽群4症例とロック音楽群5症例による受動的音楽療法下における心理的ストレス反応と細胞性免疫能を検討した. クラシック群はほとんどの症例において快感を感じ,空想,回想のため思考低下を認めたが,睡眠傾向はほとんど認められなかった.免疫能の指標であるCD4/CD8は音楽療法開始時より終了時に低値を示した.一方,ロック群は快感と不快感を感じる個人差を呈したが,空想,回想は認められなかった.5症例中3症例に睡眠傾向を認めた.CD4/CD8は個人差を認めたが,快感を感じた症例は終了時に低値を認めた. 上記のように,音楽の種類により,心理的,免疫学的差異があり,これらの特徴を理解して音楽療法を評価・活用すべきである.The influence of different kinds of music on psychological and physiological response is unclear. The authors investigated the psychological stress response and the cellular immune reaction to passive classic and rock music therapy in 9 patients who had similar orthopedic operations. Classic music subjects in 3 of the 4 cases indicated a general pleasant feeling, reminisced about past experiences, and reported no drowsiness, while feeling an increased thinking stress. The CD4/8 cellular immune reaction index also decreased. For the subjects of rock music, 2 cases experienced pleasantness and 2 cases experienced unpleasantness. However, no recollection memories were had and thinking ability was not suppressed. 3 of the 5 cases indicated drowsiness. The CD4/8 index declined in the pleasant feeling cases, the same as it did for classic music subjects. This study suggest that the different kinds of music used in passive music therapy may play different physiological as well as psychological roles in stress reduction. Care should be taken to ensure that the intended feelings are induced.