著者
井手 清志郎 辻 俊宏 小針 健太郎 山中 一司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.147, pp.17-22, 2006-07-05
被引用文献数
1

分域の成長過程をAFMにより直接観察するためには電場の印加方向をAFMの観察面内にする必要がある。そこで10μmの間隙をもつ表面電極対をリラクサー系強誘電体単結晶PMN-PTに作製し、超音波原子間力顕微鏡(UAFM)およびラテラル圧電応答力顕微鏡(LPFM)を用いて電場印加による分域のスイッチング挙動を評価した。UAFMではLPFMで見られた分域境界で接触弾性の低下により共振周波数が低下したが、LPFMで見られない表面下で傾斜した分域境界も観察できた。電界を印加した結果、電界が弱い場合には可逆的な分域スイッチングが、強い場合には分域境界の移動を伴う不可逆的なスイッチングが観察された。移動を伴うスイッチングでは電場の方向に対して相対的に安定な分域が成長する過程が観察された。表面電極対は強誘電体の分域挙動の評価に有用である。
著者
辻 俊宏 小針 健太郎 井手 清志郎 山中 一司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.147, pp.23-28, 2006-07-05

超音波原子間力顕微鏡(UAFM)の高精度化にはカンチレバーのスプリアス応答の抑制が重要である。スプリアスの主な原因はカンチレバーチップの基板のたわみ振動である。そこで制振板により基板の曲げ剛性を高める手法を提案する。その結果、共振周波数の測定精度が向上した。また水平曲げ1次(L1)モードの測定の再現性も改善した。L1モードは横接触弾性を選択的に評価できるので、たわみモードによる縦接触弾性の評価と組み合わせることで、UAFMによる組織や欠陥の方向性評価が可能になる。強誘電体単結晶PMN-PTの分域構造の評価に適用した結果、L1モードを用いた評価により分域境界でせん断弾性が著しく低下する現象が初めて見出された。